"「25万円振り込め」と脅す夫へ、私はもう妻じゃない" 第7話
300万円の求
赤いバインダーは、私が仕事用に使っているものだった。
張、鍵付きの引きしへ入れたはずなのに、写真のでは浩司がにしている。
背景にはホテルのベッド。
その端には、由美の画で見た女のピンクのカーディガンが映り込んでいた。
写真の直、文章が届いた。
《今すぐ300万円振り込め》
続けて、
《断ったら、おの取引先全部に連絡する》
《母親を虐待してから追いした最の女だってばらす》
《おを社会に終わらせてやる》
私はスマホを握ったまま、しばらくかなかった。
怖かったからではない。
は追い詰められると、ここまで簡単に線を越えるのかと驚いたのだ。
浩司は私が最も切にしているものをっていた。
仕事の信用。
以かけて積みげてきた設計士としての信頼。
そこを壊すと言えば、私が300万円を払うとったのだろう。
私はメッセージをすべて保し、林先へ転送した。
すぐに話がかかってきた。
「美穂さん、返信は急がないでください。銭を求し、応じなければ仕事の利益を与えると告げています。な記録です」
「取引先に連絡されたら……」
私がにすると、先は落ち着いた声で答えた。
「先に主な取引先へ必最限の説をしておくこともできます。何より、そのバインダーには何が入っていますか?」
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私はしだけ笑った。
「古い資料です」
実は、あの赤いバインダーにはな顧客データなど入っていない。
に終わった案件の印刷物。
古い町内会資料。
。
仕事の本当のデータは、すべてアクセス管理されたクラウドに保している。
数かから浩司が仕事部を気にしていることに気づき、あえて目につく位置に赤いバインダーを置いていた。
まさか本当に盗みすとはわなかったが、そのでは相のを記録する材料になった。
林先との通話を終えた直、今度は音声データが送られてきた。
再すると、あの若い女の声だった。
「ねえ、くお振り込ませてよ。私、あんな古いのにみたくないって言ったじゃない」
胸がたくなった。
「あのファイル使えば奥さん絶対払うって言ったでしょ。300万円あれば、しいマンションの初期費用にできるんだから」
途で浩司が、
「分かってるって」
と答えている。
私は最まで聞いた。
これで本当の目がはっきりした。
浩司は起業のためにが欲しかったのではない。
私を追いす。
父のを処分する。
そので別の女としい活を始める。
富も、その計画のなくとも部をっていた。
私は父の箱を取りした。
表面を撫でる。
「お父さん」
声にすと、しだけ胸が痛んだ。
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「もう終わらせるね」
翌の帰宅予定を林先へ伝えた。
由美にも連絡した。
《の午、に戻る》
すぐ返信が来た。
《分かった。何かあったらすぐ呼んで》
私はではない。
そうえた。
ところがその夜、富から話が来た。
最初は泣き声だった。
「美穂さん、お願いだから助けて。所のがみんな私を見てるの」
だが秒もしないうちに声が変わった。
「……なんて、私が泣いて謝るとった?」
私は黙った。
「町内会の奥さんには、あんたが寄りを虐待してるって話しておいたわ」
勝ち誇った声だった。
「それから浩司の元には、あんたの仕事の事なファイルがあるんでしょう?」
私は録音を始した。
「300万円払いなさい」
富ははっきり言った。
「そうすれば、ご所にも取引先にも、私の勘違いだったって説してあげる」
自分から証拠を残していることに、彼女は気づいていなかった。