"「25万円振り込め」と脅す夫へ、私はもう妻じゃない" 第6話
父のを売るという
産会社へ依頼したのは、すぐにを売るためではなかった。
父が残してくれたを、本当に放したいわけではない。
むしろ逆だった。
私は守りたかった。
だからこそ、現の価値を把握し、もし浩司たちが何らかの話を勝にめようとした、すぐ気づける状態にしておきたかった。
それに、富へつだけ分からせたかったことがある。
あのの所者は浩司でも富でもない。
私だという事実だった。
防犯カメラの映像では、産会社の担当者が帰った、富がのをったり来たりしていた。
何度も浩司へ話をかけている。
だが浩司はホテルでカードの支払いに追われ、それどころではないのだろう。
午。
ようやく富から直接着信が来た。
私は録音できる状態を確認してからた。
「はい」
「美穂さん、あんた何を考えてるの!」
番、鳴り声だった。
「産なんか呼んで! 私たちを脅すつもり?」
「について確認しているだけです」
「ここは浩司のでもあるでしょう!」
「違います」
私はく答えた。
「も建物も、父から私が相続したものです」
富は瞬黙った。
そして、
「結婚したんだから夫婦のものでしょう!」
と言い返した。
私はそれ以、話で議論するつもりはなかった。
「詳しいことは、帰ってから話します」
広告
「ちょっと待ちなさい! それより活費の座は何なの? おが全然入ってないじゃない!」
やはりそこだった。
「私のおだからです」
「は?」
「今から、私が必だと判断した分以は入れません」
「何を勝なこと言ってるの! 族でしょう!」
その言葉に、わず笑いそうになった。
父の形見を勝に売ろうとした。
息子の浮気相をへ招き入れた。
私を追いし、しい嫁を迎えるとにいた。
そのが、を止められた瞬だけ「族」と言う。
「美穂さん。あんた、こんなことをしてただで済むとってるの?」
声がくなった。
「ご所に何て言われるか分からないわよ」
私は黙った。
富にとって、世体は何より切だった。
そしてを支配するためにも、いつも「世様」を利用した。
案の定、そのの午。
由美から連絡が来た。
《美穂ちゃん。富さん、うちの母のところに来た》
由美の母親は町内会の妻だった。
《美穂に事を与えてもらえない、突然を売られて追いされるって、玄関先で泣いてた》
私は目を閉じた。
予どおりだった。
だが由美から続けて届いた文章を読んで、肩の力がし抜けた。
《母、全然信じてないからして》
《毎朝、美穂ちゃんがゴミしして仕事へくのも、病院へ送っていくのも所のみんな見てる》
《逆に、らない若い女を何度もに入れてる富さんの方が、最おかしいって話になってる》
富が切り札だとっていた世の目。
それは、彼女だけの方ではなかった。
黙って活してきた私を、見ていたはいた。
ホテルの窓のを眺めながら、私は初めてしだけ息をついた。
しかししたのは、そのだけだった。
午過ぎ。
見らぬ番号からメッセージが届いた。
添付された写真をいた瞬、私は子からちがった。
画面に映っていたのは、私の仕事部に置いてあった赤いバインダーだった。