"同窓会で頭取の娘に脅された俺、300億を全額解約" 第19話
引責の幕引きと、残された誇り
。の瀬の音が迫る王本。 会議において、臨株主総会および取締役会が執りわれ、久孝夫取の正式な退任が承認された。 任には、コンプライアンス体制の抜本改革を公約に掲げた宮信子氏が、同史初となる女性取として就任することが満致で決された。
総会を終えた夕方、取で私物の理を終えた久孝夫は、、窓のの並みを見つめていた。 がちらつき始めた空の、駅の目抜き通りを、々が忙しそうにき交っている。 ノックの音が響き、取となった宮が入してきた。
「久さん。……お疲れ様でした」 「宮取。を頼みますよ。……がは、まれ変わらなければならない。組織の膿をし切り、域の企業と、そこにきる々の『信用』を第に考える、愚直なに戻してやってください」 「承いたしました。久さんがかつて支代に示されたあの精神を、必ずや全員に徹底させます」
久氏は満そうに微笑み、コートを羽織った。 鞄のに切にしまい込まれていたのは、あの、アサギ本社の応接で堀弘から返却された、あの名刺だった。 裏面に記された娘の歪んだ文字。 その名刺を指先で撫でながら、老いた取は静かに呟いた。
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「……堀君。君に教えられたよ。信用とは、築くのに何もかかるが、壊れるのはたった言のなのだとな」
同じ頃、京のアサギホールディングス社には、奥川支のエリから送られてきた枚のが届いていた。 秘の苗が「社、個な信です」と差しした封筒。 俺は、静かにそのを読んだ。 便箋には、飾り気のない文字で、窓業務の々と、名もなき農の老婆から渡されたみかんの温もり、そして過の己に対する底れぬ恥辱と謝が記されていた。
俺は返信をかなかった。 だが、そのを破り捨てることもしなかった。 机の引きしの奥、切な類を収めるトレイの隅に、静かにそのを収めた。 許すとか、許さないとか、そんな単純なではない。 は己の過ちを骨の髄まで悟り、を啜ってやり直す覚悟を持った、初めて自らのをき直すことができる。 彼女がこれから歩む茨のに、度と「取の娘」という呪縛が付き纏わないことを、元同級として、静かに祈るだけで分だった。
同窓会のグループLINEは、完全に活を止していた。 幹事の松本から「来以の同窓会は、職業欄の名札を廃止し、純粋な親睦会として再編する」という簡潔な通が流れたのを最に、誰として発言する者はいなくなった。
虚飾で繋がっていた百の関係は、砂の楼閣のように崩れり、それぞれの現実の活のへと埋没していったのだ。