"同窓会で頭取の娘に脅された俺、300億を全額解約" 第17話
冊目の裏表に隠された真実
事が段落した頃、俺は元に置いていたビジネスバッグから、冊の古い学ノートを取りした。 机のにコトンと置かれた、茶に変したノート。 角は丸く擦り切れ、表には鉛で『・総』とく記されている。
砂子のが、ピタリと止まった。 箸を置き、そのノートを信じられないものを見るように見つめている。 「これ……まさか……」 「覚えているか。の、俺が母の病やバイトで学を休むたびに、机のに入れてくれていたノートだ」
「……まだ、持ってたの?」 砂子の声が、微かに震えていた。恐る恐る伸ばされた指先が、数に自分がいた表の文字に触れる。 『わからないところがあったら、いつでも聞いてね』 消しゴムで何度も消してき直した、あの鉛の跡。
「捨てられるはずがないだろう」俺は言った。「アサギをちげて、資繰りにき詰まって、もうダメかとった夜が何度もあった。そのたびに、俺はこのノートをいて、おがいてくれた板を眺めていたんだ。『堀君はサボってるわけじゃない、必で働いてるだけだ』……あのの言葉が、俺の背骨だった」
砂子は瞳を潤ませ、首を横に振った。 「げさだよ……。私、ただ自分ができることをしただけだもの」 「げさじゃないよ」 俺はノートをに取り、裏表を捲った。
広告
そして、、ずっと誰にも見せることなく、俺の胸のにだけ封印してきた「裏表の内側」を、砂子のに静かにいた。
そこには、卒業式の直、砂子が万で殴りきした、たったの文章が記されていた。 インクが滲み、度も破り取られることなく残されていた、魂の告。
『先へ。堀君は、絶対に怠けてサボっているわけではありません。お母さんを支えるために、誰よりも懸命に働いているんです。どうか、堀君を悪く言わないでください。――図委員・田砂子』
砂子の呼吸が止まった。 カッと目を見き、両で自らの元を覆った。 粒の涙が、その指の隙からポロポロと溢れし、テーブルの目を濡らしていく。
「……これ、覚えてるか」 俺が優しく問いかけると、砂子はしゃくりあげながら、消え入りそうな声で答えた。 「……うん。覚えてる……。の、先たちが職員で『堀は就職も決まらないし、バイトばかりで卒業も危うい』ってを言ってるのを聞いちゃって……。悔しくて、悔しくてたまらなくて……担任の先に渡そうとっていたの。でも……私、臆病だったから……先に渡せなくて……ノートの裏に挟んだまま、ずっと忘れてたの……」
「卒業式のの夜、でアパートの部でこのノートをいて、これを見つけたんだ」
俺の声もまた、いものに震えていた。 「世界が俺を『れな貧乏』として見すで、おだけが、俺の尊厳のために泣いて、戦おうとしてくれていた。……嬉しかった。のので、番嬉しかった」
砂子はハンカチで涙を拭い、何度も何度も首を横に振った。 「ひろ君が……派なになって、本当に嬉しい。……頑張ってきてきて、本当によかったね……」 の成功を妬むでもなく、その富に群がるでもなく、ただのが歩んできた苦難のを讃え、共に泣いてくれる女性。 俺はこの夜、確信した。 このの隣こそが、俺が涯をかけて守るべき、たったつの帰るべき所なのだと。