みかん小説
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"本当の家主" 第4話

「私の」と叫ぶ寄虫

リビングの引き戸をけると、先ほどと何つ変わらない獄の景が広がっていた。

テレビからは品な効果音が流れ、ピザの油と古ビールの饐えた匂いが充満している。ソファーのでは、美がスナック菓子の袋を抱えて寝転がっていた。のり子が戻ってきたのを見ると、美は元を歪めて勝ち誇ったように笑った。

「遅いよ、お義姉さん。お兄ちゃんに言いつけにったんでしょ? どうせ追い返されたんでしょ。お兄ちゃん、私の方だからさ。ほら、分かったならさっさとキッチンってハンバーグ作ってよ!」

のり子はキッチンへ向かわず、リビングの央、散乱するピザの箱のに毅然としてち止まった。

「美さん。私は夕を作りません。そして、このゴミも切片付けません」

静まり返ったリビングに、のり子のく澄んだ声が響いた。美は抱えていた菓子の袋を止め、目を丸くしてのり子を見げた。まるで、ただの置物だとっていた具が突然言葉を発したかのような、抜けな表だった。

「……はあ? 何言ってんの?」

「あなたが散らかしたゴミです。あなたが自分で片付けてください。べたければ、自分で作ってください」

「だから、私はそういうの苦なんだってば! お義姉さんがやればすぐ終わるでしょ!?」

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「苦だからやらない、というのは子供の言い訳です。あなたは歳の分別あるです」

のり子が切の躊躇なく突き放すと、美の顔からふざけた笑みが完全に消え失せた。ボサボサの髪を振り乱しながらソファーから起きがり、仁王ちになってのり子を指差した。

「ちょっとお義姉さん、何様のつもり!? お兄ちゃんと喧嘩したからって、私につ当たりしないでよ!」

「つ当たりではありません。自分の始末は自分でつけなさいと言っているだけです」

「あのさあ、お義姉さん勘違いしてんじゃないの!?」

美はに転がっていたビールの空き缶を乱暴に蹴ばした。缶が壁に激突して甲い属音をて、残っていた液体がフローリングにび散る。

「ここはね、私のお兄ちゃんのなの! 男のなのよ! お兄ちゃんが必に働いて建てたおに、お義姉さんはまわせてもらってるでしょ!? 族に入れてもらったんだから、私たちのために事をするのは当然じゃない!」

義母から刷り込まれた歪んだ特権識。この女ののには、毎宅ローンを支払い続けているのり子の座のなど、微もしていなかった。

「まわせてもらっている……? 本気でそうっているのですね」

「そうよ! 嫌ならてけばいいじゃない! お義姉さんがいなくなったって、お兄ちゃんならもっと若くて気が利く奥さんをいくらでももらえるんだから!」

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以ののり子なら、その言葉にく傷つき、孤独になることを恐れて震えがっていたはずだ。しかし今、目ので喚き散らす歳の無職の女の姿は、滑稽で、れで、醜悪な寄虫そのものにしか見えなかった。のり子の資で建てられた根ので、のり子の買った具に座り、のり子の料で暮らしていながら、のり子を見す。

「そう。私がここをてけば、あなたたちは何つ困らないわけですね」

のり子がややかに相槌を打つと、美は自分の脅しが効いたと勘違いしたのか、得げにを鳴らした。

「当たりでしょ! だから文句言わずに、さっさと座して掃除しなさいよ!」

「お断りします」

のり子は言だけ告げると、踵を返して自分の寝へ向かおうとした。

「ちょっと、逃げるんじゃないわよ!」

背から美がヒステリックに叫び、のり子の腕を掴もうと突してきた。その瞬、美のがに散らばっていたピザの箱の油を踏み抜いた。

「きゃあああっ!」

派な鳴とともに、美は自らの体を支えきれず、フローリングのに滑り倒れた。テーブルの脚に腰を打し、皿とビールの缶を巻き込んでに転がる。

「痛ったああい! ちょっと、何すんのよ! お義姉さんが突きばしたんでしょ!」

完全な自業自得の転倒であるにもかかわらず、美はを叩きながら泣き喚いた。

「痛い! 殺される! お母さーん! お母さん助けてええっ!」

その絶叫が引きとなった。

廊の奥から、ドタドタと激しい音が響いてきた。階ので寝ていた義母のかよが、髪を振り乱しながらリビングの扉を蹴破るようにしてび込んできたのだ。

「美! どうしたんだい、今の音は!」

に転がり、涙とを流して震える娘の姿を見た瞬、かよの形相が般若のようにねがった。

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