"「慰謝料500万円」ママ友が出した弁護士の名刺に驚愕" 第3話
百万円の請求
曜の午、すももにの復習をさせていたとき、インターホンが鳴った。モニターには織さんと、紺のスーツを着た見らぬ男性が映っていた。織さんは笑っていたが、目のには濃い隈ができている。
「ひまりさん、なお話があるの。こちらは弁護士さんよ」
嫌な予がした。私はすももに自分の部で続きをするよう伝え、玄関の内側で用件を聞こうとした。ところが織さんは「子どもに聞かれたくないでしょう」と声を張りげた。所に響く声だったため、私はをリビングへ通し、娘の部の扉を閉めた。
男性は名乗るより先に革の鞄から封筒を取りした。「浦健也さんとの貞為について、慰謝料百万円を請求します」。そう言って、A4用をテーブルの央に置く。私は瞬、何の話をされているのか理解できなかった。
「私は健也さんと個に会ったことはありません。どういう根拠ですか」
「証拠はありますよ」と織さんが言い、スマートフォンを突きした。画面には『してる』『また会おう』というメッセージが並んでいる。先、私の端末に方に送られてきたものと同じだった。
「これは健也さんが送った文章でしょう。私からの返信はどこにありますか」
「消したんでしょう。そういうの、よくあるって弁護士さんも言ってるわ」
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男性は咳払いをしてから、わざとい声で言った。「裁判になれば、あなたがもっと利になります。ご自宅もも差し押さえられるでしょう。週以内に振り込んでください」。振込先として印刷された座には、聞いたことのない会社名が記されていた。
私は請求の端を指で押さえ、記載された付と名義を確認した。そもそも訴訟も判決もない段階で、来週にはを差し押さえるという説は成りたない。けれど、法律をらないが聞けば、分に恐ろしい言葉だった。
「お名と所属を教えてください。委任状と、請求の根拠となる資料も拝見したいです」
「林です。未来弁護士事務所の林雅。こちらが名刺です」
男性が差ししたい名刺を見た瞬、私は指を止めた。濃紺の細い線で囲まれたロゴ、事務所名の体、所。所は、私が毎朝勤しているビルのものだった。
ただし、事務所名は『未来法律事務所』ではなく『未来弁護士事務所』。文字違う名に、実する事務所の所を組みわせている。話番号もよく見ると、末尾桁が違っていた。私の勤め先を利用した、の込んだ偽物だ。
私は名刺をテーブルに置き、男性の顔を見た。事務所には弁護士がほど籍しているが、林雅というはいない。なくとも私のる限り、同じ建物にその名の法律事務所もなかった。
「林さん。登録番号を伺ってもいいですか」
「なぜそんなものを聞く必があるんですか。私を疑っていると?」
「所属の確認をしたいだけです。弁連の登録報でも確認できますから」
林と名乗る男性は、初めて織さんの方を見た。その線は、助けを求めるというより、予定のことが起きたとらせる図に見えた。織さんも、さっきまでの勢いを失っていた。
私は名刺の裏面をめくった。そこにはさな文字で『代表弁護士 瀬ひまり』と印刷されていた。自分の名を、こんな形での名刺に見つけるとはわなかった。