"「嫁は廊下で寝ろ」私が二度と帰らなかった理由" 第15話
分かったのではなく、困っただけ
別居からか半。
私の気持ちは、婚へ固まっていた。
、孝介と会った。
所は私のマンションの最寄り駅にある喫茶。真柴先にも事に相談し、婚届と財産分与についての面を準備した。
窓際の席で待っていると、孝介が入ってきた。
か半ぶりに見る夫はし痩せていた。
ワイシャツにはアイロンの跡がなく、細かな皺が寄っている。
向かいに座り、コーヒーを頼んだあと、しばらく無言だった。
「母さんと毎晩喧嘩した」
やがて、ぽつりと言った。
暮らしを始める、義母とこんなやり取りをしたという。
「夕飯どうするの?」
孝介が「母さん作ってよ」と答えると、義母はった。
「私はあなたの嫁じゃないわよ」
その言葉に孝介も言い返した。
「恵里だって俺の妻であって、母さんの政婦じゃなかっただろ」
義母は「あんたも私の方してたじゃない」と返した。
孝介はその、自分のからた言葉で初めて分かったらしい。
「俺、恵里のこと政婦みたいにってたんだなって」
私は何も言わなかった。
「父さんに言われて洗濯もするようになった。アイロンもまだだし、支払いのも何がどこから来るのか分からなかった」
孝介はスマートフォンをした。
私の会社のホームページがかれている。
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「これもちゃんと見た。取材の記事も、社員が百いることも。俺、恵里が何してるなのか、本当に何もらなかった」
そしてを乗りした。
「母さんとはもうれて暮らしてる。俺でちゃんとやってる。だから、もう回やり直せないかな」
私はコーヒーをんだ。
「分かったのは、私がいなくなって困ったからでしょう?」
孝介の表が止まった。
「何?」
「私がいなくなって、洗濯物がたまった。トイレットペーパーがなくなった。病院予約もできない。だから私が々してたって分かった」
孝介は黙った。
「それは、分かったんじゃなくて、困っただけよ」
「そんなこと……」
私は首を振った。
「あの夜、私がまで働いて帰ってくることはってたでしょう。朝、『今は締めと役員会がある』って言ったら、あなた『分かった』って答えた」
孝介の顔がこわばった。
「それをったで、あなたは夕飯をべたあと、自分ので私の布団を廊に運んだ」
返事はない。
「社かどうかは関係ないの。のことをどれだけしてたかも関係ない」
私は孝介の目を見た。
「あなたは、まで働いて帰ってくるの布団を廊に運べるだった。そして帰ってきた私に『晩くらいだろ』と言った」
孝介はうつむいた。
「それが私にとって、あなたからの答えだった」
鞄から婚届をした。
「私はもういてあります」
孝介はを見つめたままかなかった。
いが過ぎた。
やがてさく言った。
「分かった」
ペンを取り、自分の名をいた。
財産分与についての面にも目を通し、署名した。
「慰謝料とか……」
「いらない」
私は答えた。
「あなたからおを取りたくてたんじゃない」
し考え、最に言った。
「自分ので、普通に眠りたかっただけ」
孝介はくをげた。
「ごめん」
その言葉は、廊の布団ので聞きたかった。
けれど今さら、それを言っても何も戻らない。
私は黙って婚届を鞄へしまった。