"「嫁は廊下で寝ろ」私が二度と帰らなかった理由" 第12話
義母も同じ布団を見ていた
「みつ子は廊に座り込んで泣いていた」
義父は静かに続けた。
「仕事から帰ったのままでな。俺はその晩、みつ子を連れてこのをた。駅のい宿に泊まって、翌にはさなアパートを借りた」
私は義母を見た。
夜、私の布団をで廊の央へ押した。
「嫁はここで寝ればいい」と笑った。
その自が、同じ廊で泣いていた。
「ほど、親父がくなって母がになった、このに戻ろうと言ったのはみつ子だった」
義父の声にはりだけでなく、い疲れが混じっていた。
「あれだけのことをされた母を最まで見たのもみつ子だ。だから俺は、おがあの夜を乗り越えたんだとってた。同じことは度としないになったんだと」
そして孝介を見る。
「おは『晩くらいだろ』と言ったそうだな」
孝介の肩が縮んだ。
義父は言った。
「俺はあの夜、晩もさせなかった」
孝介は何も言えなかった。
「に俺が話した、『おが番分かってるはずだろ』と言ったな」
義父は妻へ向いた。
「このことだ。おなら、仕事から帰って廊の布団を見たの気持ちが誰より分かるはずだとっていた」
義母は両で顔を覆った。
肩が震えた。
しばらくして、指の隙から声が漏れた。
「だって……私は辞めたのよ」
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義父が黙る。
義母は顔をげた。
「あなたが連れしてくれたあともは信用庫に勤めた。でも孝介ができた、あなたのお母さんにも親戚にもずっと言われたの。母親が働くなんて子供がかわいそうだって」
義母の声が次第にくなった。
「毎、毎よ。それで私は仕事を辞めた。あなたも『にいてくれた方が助かる』って言ったじゃない」
義父は反論しなかった。
「それから。こののことをやって、孝介を育てて、あなたのお母さんを見て、あなたの帰りを待ってきた」
義母は唇を震わせた。
「今の、あなた私に言ったでしょ」
義父が眉をかした。
「『恵里さんを見てると昔のおをいす』って」
義母の目から涙が落ちた。
「褒めたつもりだったんでしょう。でも私には違って聞こえた。昔のおは仕事してた。でも今のおは何もしてないって」
私はの夜をいした。
噌汁をよそいながら、義母が初めて聞いた。
「いつ会社を辞めるの?」
義母は私を見た。
「あなたは夜まで働いて、自分の会社まで持ってる。私は放したものを、全部あなたが持ってる」
私は息をんだ。
「孝介が『経ったら恵里は会社を辞めてに入る』って言ってくれた、私はほっとしたの」
義母の本音はそこだった。
「この子も私と同じになる。そうった。私だけじゃないって」
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しかし私は辞めなかった。
「なのにあなたは『辞めません』って言った。どうして私だけ辞めさせられて、あなたは辞めなくていいのよってった」
ようやく全てが分かった。
義母が欲しかったのは、寂しさを埋めてくれる話し相だけではなかった。
自分と同じように仕事を放し、このに入る嫁。
自分が失ったものを私にも失わせることで、の選択を正しかったことにしたかったのだ。
私は静かにをいた。
「お母さんがにされたことは、ひどいといます」
義母が顔をげた。
「仕事から帰って、自分の布団が廊にある気持ちは私にも分かります。昨、同じものを見ましたから」
そしてはっきり伝えた。
「でも、お母さんが昔つらかったことは、私を廊で寝かせていい理由にはなりません」
義母の唇がいた。
けれど言葉はなかった。