"「嫁は廊下で寝ろ」私が二度と帰らなかった理由" 第5話
夫が勝に決めた
に入ると、義母は私の持ち物だけでなくまで使うようになった。
曜の朝、台所のテーブルに枚のメモが置かれていた。
形科の予約。
お元件。
用品の注文。
通帳の記帳。
番には、「恵里さん、これお願いね」といてある。
「嫁の仕事でしょ。私はもうなんだから」
義母は自分の湯呑みだけを持って向かいに座った。
私は昼休みや通勤を使ってつずつ片付けた。形科へ分以話し、お元は送り先と好みにわせて選び、用品は自分のカードで注文した。
義母から代を受け取ったことはない。
それでも親戚が訪ねてきた、義母は笑顔で言った。
「お元は毎、私がデパートのと相談して選んでるの」
その横で私は黙っていた。
義母の妹・佳代さんは私へ向かって、「恵里さん、仕事ばかりしてるんですって? 姉さんをし楽にしてあげなきゃ」と言った。
義母は満そうに頷いた。
「そうなのよ。毎晩遅くて、のこと何もしないの」
私がしたことは、このでは簡単になかったことにされる。
その事実が、物を廊へされるより苦しかった。
そして義母はまた言った。
「夜まで働くなら、もう会社なんて辞めなさい。パートにすれば夕方には帰れるでしょう」
「辞めません。社員の活もありますから」
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義母はで笑った。
「社員って何いるの? ? ?」
孝介まで雑誌の向こうから笑った。
「友達とやってる会社だもんな。恵里がいなくても回るだろ」
私は答えなかった。
百いると言ったところで、は信じないだろう。
すると義母がぽつりとにした。
「まあいいわ。どうせ来からはそうするんだから」
私は顔をげた。
「来から?」
義母の表が瞬固まった。
「孝介に聞きなさいよ。夫婦のことなんだから」
孝介は雑誌を見たまま何も言わない。
そのページは先ほどから枚もめくられていなかった。
の「いつ会社を辞めるの?」。
親戚との話で聞こえた「どうせ来からは」。
そして今の「来からはそうする」。
全部が同じところからている。
私は、義母の歳を族で祝う夕の席で聞くことにした。
その夜、ぷらと茶碗蒸しを作り、事が終わったあと、私は分のお茶を入れて座り直した。
「で、同居を始めてになります」
孝介がテレビのリモコンを置いた。
「約束通り、からはで暮らしたいとっています。私のマンションへ移りたいです」
孝介がで笑った。
「あの会社の仮眠部? でめるわけないだろ」
「仮眠部じゃないってにも――」
「何言ってるの?」
義母が私の言葉を遮った。
「孝介はずっとここにむのよ」
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湯呑みが卓袱台に置かれ、きな音がした。
「それにあなた、経ったら会社を辞めて、がけたらに入るんでしょう?」
私はけなかった。
「孝介がそう言ったわよ」
ゆっくり夫を見る。
孝介は私と目をわせなかった。
「あなた、そう言ったの?」
い沈黙のあと、孝介はをかいた。
「言ったけどさ……その方が恵里も楽だろ」
「いつ?」
「同居を決めた」
私は膝ので両をねた。
孝介は悪びれもせず続けた。
「母さん、でていかれるくらいなら最初からでいいって泣いたんだよ。だから、経ったら恵里は会社を辞めてに入るって言った」
「私に相談した?」
「相談したら反対するだろ」
その瞬、から続いたすべてが本の線でつながった。
義母は待っていたのだ。
私が仕事を辞め、このに入るを。
だからに「辞めない」と答えた私を、約束を破った嫁だとった。
洗濯物も、つの湯呑みも、蔵庫の残り物も、化粧品の箱も、物置の靴も。
全部、そこから始まっていた。
そして私はようやく理解した。
義母だけが問題だったのではない。
私のを私のいないところで勝に差ししたのは、夫だった。
。
私は枚のメモを持って、初めて弁護士事務所の扉をけた。