"「嫁は廊下で寝ろ」私が二度と帰らなかった理由" 第4話
「嫁なんだから」
が過ぎ、嫌がらせは私の持ち物にまで及んだ。
初めの朝、洗面所へ入った私は棚のでち尽くした。並べていたはずの化粧、乳液、歯ブラシがすべて消えていた。
元を見ると通販の段ボール箱が置かれ、そのへ無造作に放り込まれている。化粧の蓋が緩んでがこぼれ、箱の底が湿っていた。
番には、母からもらったさな鏡があった。
会社をちげた、母が「社さんになるならだしなみくらいちゃんとしなさい」と笑ってくれたものだった。夜勤けにでデパートへき、買ってくれた鏡だ。
取りすと、縁に細いひびが入っていた。
「お母さん、洗面台の私のもの、箱に入れましたか?」
台所で噌汁を作っていた義母は、鍋から目もげずに答えた。
「邪魔だったから」
「鏡にひびが入っています。母にもらったものなんです」
「あら、もともとじゃないの?」
義母はそれだけ言い、朝の箸を膳並べた。
数には、私の靴が靴箱から消えた。
通勤用のだけを残し、は勝のにある物置へ段ボールごと移されていた。
「若いんだからあれば分でしょ」
翌は取引先の役員と会う予定で、私はし良いパンプスを履くつもりだった。物置から箱を探しすと、湿気と埃の匂いがついていた。
さらに数、押入れの段まで義母の布団で埋められた。
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私の装ケースつと化粧品の箱は、階廊の隅に積みげられている。
「物をしまう所がないのよ」
義母は階から言った。
「廊に置いても困らないでしょ。どうせあなた、寝に帰ってくるだけなんだから」
そのの夕で、義母は突然目元を押さえて泣きした。
「ごめんなさいね、孝介。お母さん、もう疲れちゃって」
孝介が驚いて顔をげる。
義母は震える声で続けた。
「恵里さんの物がどんどん増えるの。洗面台も靴箱も押入れも全部使われちゃって。ここは私のなのに、私が慮して暮らしてるの」
事実は逆だった。
私の荷物は同居始より減っている。収納に入りきらなくなるたび、自分のマンションへ運んでいたからだ。
「私物は増えていません。むしろ減らしています」
そう言うと、義母はさらに泣いた。
「ほら。すぐそうやって言い返すのよ」
孝介が私を見た。
「恵里、もうし物減らせないの?」
その夜、呂がりの孝介に改めて話した。
「さすがにひどいとう。洗面台も靴も押入れも、私のものだけ全部へされてる」
孝介は髪を拭きながら答えた。
「母さんのなんだからわせろよ」
「わせてる。もうかも」
「だからさ」
孝介はそこで初めて、私の目を見た。
「嫁なんだから、母さんにわせるのが普通だろ」
私は何も言えなかった。
母の鏡が割れたことを話しても、「ひびくらいなら使えるじゃん」
と言われた。
「あとしだろ。それくらいしろよ」
あとし。
私はので数えた。
の約束まで、あとか。
しかしその、初めて気づいた。
その「」を、孝介も同じで数えているのだろうか。
夫が眠ったあと、私はスマートフォンのメモをいた。
仕事で問題が起きれば、まず記録を取る。それが会社をちげた頃からの習慣だった。
。洗面台の化粧品を箱へ移される。母の鏡にひび。
。靴を物置へされる。
。押入れの私物を廊へされる。
夫へ相談。
「嫁なんだから母さんにわせろ」
事実だけを入力した。
はかなかった。
私はまだらなかった。
この記録が、数かに私のを切り分ける材料になることを。