"「嫁は廊下で寝ろ」私が二度と帰らなかった理由" 第3話
しずつ消える私の所
義実で私たちに与えられたのは、階奥の畳のだった。孝介がまで使っていた部で、押入れ段には卒業アルバムや漫画、古いゲームがそのまま残っていた。
「ここは孝介の部だから、昔のものはかさないでね」
義母はそう言い、押入れの段だけを私にけてくれた。
私のは装ケースつ分だけ残し、入りきらないものは自分のマンションへ運んだ。布団を組並べると畳はほとんど埋まったが、それでも私は満を言わなかった。
最初の数か、義母は本当に優しかった。
「恵里ちゃん、お仕事変ね。無理しちゃ駄目よ」
帰宅が遅くなるは、台所に私の夕飯がラップをかけて置かれていた。私は義母のことを、し寂しがりだけれど優しいだとっていた。
変化が始まったのはだった。
ある夜、珍しくに帰宅し、義母と並んで噌汁をよそっていると、義母が何気ない調で聞いた。
「それで、恵里さん。いつ会社を辞めるの?」
聞き違えたのかとった。
「辞めませんよ。どうしてですか?」
義母のお玉が止まった。
私を確認するようにじっと見たあと、「そう。ならいいのよ」と鍋へ線を戻した。
それからだった。
「恵里ちゃん」だった呼び方が「恵里さん」に変わり、帰宅を細かく責められるようになった。
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を過ぎると玄関で腕を組んで待っている。
「ずいぶん遅いのね」
「仕事です」
「所のに、藤崎さんちのお嫁さんは毎晩遅いって言われるのは私なんだから」
に帰れば、玄関灯が消されていることもあった。
ある夜、暗い玄関で靴を脱いでいると、義母はテレビから目をさずに言った。
「嫁がこんなまで遊び歩いて」
私はその、取引先のシステム切り替えにち会っていた。夕飯を取る暇もなく、のでおにぎりを個べただけだった。
それを説しても、義母は「仕事、仕事って、庭より事なの?」と返した。
やがて嫌がらせは目に見える形になった。
最初は洗濯物だった。
それまで分まとめて洗ってくれていたのに、私のだけが洗濯のに丸めて置かれるようになった。孝介と義母のはきれいに畳まれ、居の籠に入っている。
私は孝介に相談した。
「私の分だけ毎回こうなの」
孝介は自分のシャツを取りながら言った。
「自分で畳めばいいじゃん。母さんだって忙しいんだから」
「畳んでほしいんじゃないの。私のだけされるのが気になるって言ってるの」
「気にしすぎだって」
次はのお茶だった。
義母は毎晩つの湯呑みを並べていた。それが、あるからつになった。
義母と孝介の分だけ。
「あら、恵里さんの忘れちゃった」
最初のはそう言った。
しかし翌も、その次のもつだった。
目、私は自分で器棚から湯呑みをし、急須に残っていたお茶を注いだ。
すると義母がきなため息をついた。
「自分の分だけ勝に入れて。そういうところよね、今の若いは」
そのはには帰宅していた。目ので義母が分だけお茶を入れたのを見ていた。
それでも私は言い返さなかった。
つつはさなことだった。
洗濯物なら自分で畳めばいい。お茶なら自分で入れればいい。夕飯がなければでべればいい。
だから耐えられる。
そうおうとした。
けれど私は気づき始めていた。
このでは、私の分だけがつずつ消されている。