"義父の古希祝いで母娘の席が消えた――予約名義は私" 第8話
い封筒の問い
哲夫と会った翌週、姉ののポストに、通のが届いていた。
差の欄には、几帳面な達で『馬ふみ子』と記されていた。義母からのだった。
美が実の特権を剥奪され、啓介のにわたる隠蔽が親族にれ渡った直。この期に及んで送られてきたに、何がかれているのか。私はペーパーナイフで静かに封を切った。
からてきた枚の便箋には、自己保に満ちた言い訳がびっしりとき連ねられていた。
『菜央さん、先、啓介から信じられない話を聞かされました。ちゃんがから養子に入っていたなんて、私は本当に何もらされていなかったのです。親族のとして、息子が親に相談もなく勝に戸籍をかしていたことに、どれほどショックを受けたか分かりません。
もし、ちゃんがあので正式な馬の戸籍に入っている娘だとっていたなら、あのような席順にはいたしませんでした。血の繋がらない連れ子さんだとい込んでいたからこそ、内輪の席にはふさわしくないと判断したのです。すべては、事なことを隠し通していた啓介の責任です。私を責めるのは筋違いというものでしょう』
読み終えた瞬、私の唇からたい乾いた笑いが漏れた。
このは、何つ変わっていない。
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反省しているのではない。『が正式な養女だとらなかったから、自分は悪くない』『悪いのは騙していた息子だ』と、責任の所をすり替えているだけなのだ。
このにとって、の尊厳とは戸籍という切れ枚で決まるものなのだ。血が繋がっていない連れ子であれば、歳の女を親族名ので「馬の骨」と嘲笑い、席を奪ってたせても構わないと、本気で信じ込んでいるのだ。
私はちがり、引きしから枚の便箋と万を取りした。
な罵詈雑言をくつもりは微もなかった。このが築きげてきた醜い価値観の急所を、ただ点、正確に突くだけでよかった。
私は万の先をらせた。
『おを拝見いたしました。が養子であることをらなかったというご事は理解いたしました。
ただ、つだけ教えてください。
もし、が養子縁組をしていなかったなら。 啓介さんの戸籍に入っていない、ただの私の連れ子であったなら。
あの、美さんが放ち、お義母様が頷かれた「どこの馬の骨ともれない母娘にべる資格なんてない」という言葉は、正しかったのでしょうか。
血が繋がっていない子供であれば、名のので見世物にし、席を奪い、尊厳を踏みにじっても良いだったのでしょうか。
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お義母様が本当に向きうべきなのは、息子の隠し事ではなく、ご自のそのお考えではありませんか』
それだけをき記し、結びの挨拶もかずに封筒に収めた。
翌朝、私はたいれの空の、くのポストへそのを投函した。
赤いポストの奥へい封筒が落ちていく乾いた音を聞きながら、私はく息を吸い込んだ。
これで、義母との精神な繋がりは完全に断ち切られた。このがどう返答しようと、あるいは沈黙しようと、私とのにはもう何の関係もない。
私はそので、ハローワークへと向かった。
独代に培った経理事務の経験をかし、しい仕事を探すためだ。誰かに養ってもらうためではなく、誰かの顔を窺ってきるためでもない。自分とのを、自分自ので支え、歩んでいくための第歩を踏みすために。