"義父の古希祝いで母娘の席が消えた――予約名義は私" 第7話
暴かれた活
『母さんが……昔、言ったんだよ……!』
沈黙を破った啓介の声は、泣きしそうな子供のように擦っていた。
『結婚する、「連れ子をうちの戸籍に入れるな、馬の血筋にふさわしくない」って……! 反対されるのが分かってたんだ! 言ったら騒ぎになって、俺が板挟みになるのが怖かったんだよ!』
「だから、のだけで父親のフリをして、実のでは事のように振るっていたのね」
『俺はを娘だとってる! それは本当なんだ!』
「のだけでね」私は酷に切り捨てた。「にて、実のがを『馬の骨』と嘲笑った、あなたはスマホを見て黙っていた。自分の父親としての責任を隠し通すために、歳の子供の尊厳を踏みにじったのよ」
『悪かった……! 俺が悪かったよ! あの、会にくに言おうとったんだ! でも言えなくて……だけすれば、波てずに済むとったんだ!』
「だけの? 誰がするの? が? 私が? あなたが実で良い顔をするために、なぜ私たちが親族ので晒し者にならなきゃいけないのよ!」
『頼むから、度会ってくれ! 俺が親父と母さんに全部話すから! に直接座して謝るから!』
「もう遅いわ」
私はそれ以、男の見苦しい弁解を聞くことなく、通話を方に切断した。
数、私は義父の哲夫から呼びされ、駅の静かな喫茶にいた。
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哲夫は注文したコーヒーにをつけることもなく、テーブルに両をついて、髪の混じったを々とげていた。
「菜央さん……本当に、わせる顔がない。昨晩、啓介が実に来て、の養子縁組のことをすべて状したよ」
哲夫の語る声は、りとけなさで激しく震えていた。
啓介が実の茶ので座し、がから正式な養女であったことを告した瞬、馬には激震がったという。
義母のふみ子は、自分が親族名ので正式な孫を侮辱したという事実に狼狽えるどころか、逆して息子を罵倒した。
『勝に養子にするなんてどういうことなの! 親の許もなしに戸籍を汚すなんて! 全部、あの女が遺産目当てであんたを言いくるめたに決まってるわ!』
ふみ子にとって、罪のない子供のを傷つけたことなどどうでもよかったのだ。自分の管理が及ばないところで、の形が変わっていたこと、そして何より、将来の自分たちの資産が「血の繋がらない娘」に流れることへの執着だけが、彼女を狂わせていた。
そして、そのに居わせた義妹の美が放った言葉は、哲夫のりに決定なをつけた。
『お父さん! が養女なら、将来のお父さんの遺産の取り分が減るじゃない! どうしてくれるのよ!』
歳の姪がに負った傷のことなど言も配せず、番にてきたのが「自分の遺産の取り分」
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だったのだ。
哲夫は激昂し、に持っていた湯呑みを畳に叩きつけて割ったという。
『まだきている親の目ので、を分ける話をするか、この浅ましい者どもがッ!』
哲夫の号は、夜の宅に響き渡るほどだった。
「菜央さん、私はね、あいつらにハッキリと言ってやったよ」
哲夫はスーツの内ポケットから、枚の真しい名刺を取りしてテーブルに置いた。元の力な司法士事務所の名刺だった。
「美はこれまで、実のくにんでいることを理由に、私の通帳や産の権利証を『老の管理』と称して勝に握り込んでいた。あいつが実できな顔をして、おたちを見していたのは、その財産管理の特権があったからだ」
哲夫の瞳に、元教育者としての厳しい決断のが宿っていた。
「私は昨、そのすべての通帳と実印を美から取りげた。の鍵も回収した。そして司法士の先に頼み、公正証遺言の作成続きに入った。私の財産は、私がきているうちにすべて処分し、福祉施設や教育基へ寄付する。あいつらには、円たりとも残さない」
美は泣き叫んで縋り付いたという。『お父さん、私が今まで面倒を見てあげたのに!』と。しかし哲夫は『親のを当てにしての子供を踏みにじるようなに、残すものなど何もない』と蹴した。
美が失ったのは、将来のだけではない。両親の資産を盾にして実を支配し、兄夫婦を見し、親族ので特別扱いされていた「絶対な権力」そのものが、根底から剥奪されたのだ。
「菜央さん……ちゃんは、しは笑えるようになったかい」
哲夫の掠れた問いかけに、私は静かに頷いた。
「はい。学の図委員になって、毎楽しそうに本の話をしてくれます」
「そうか……よかった。本当に、すまなかったな」
哲夫は涙を拭いながら、々とをげ続けた。
しかし、馬の崩壊劇は、まだ終わっていなかった。