"義父の古希祝いで母娘の席が消えた――予約名義は私" 第5話
だけの卓と暴かれた真実
ホテルの敷をくれ、私たちは通り沿いにある、見慣れたファミリーレストランの自ドアをくぐった。
内にはハンバーグの焼けるばしい匂いが漂い、族連れや学たちのるい笑い声が満ちていた。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
若い女性員が、笑顔でメニューをに歩み寄ってきた。
私はしだけを置き、はっきりと答えた。
「です。席、お願いします」
「かしこまりました。こちらの窓側のテーブル席へどうぞ」
案内された掛けのボックス席には、清潔な子がきちんと向かいって用されていた。分の席しか用されず、私たちを排除したあの豪華絢爛な宴会とは違う。ここでは、私たちはのとして、当たりのように座る所を与えられたのだ。
は向かいの席に座ると、胸に抱えていた袋をそっと隣の空いた子のに置いた。
私が温かいコーンスープとチーズハンバーグのセットを分注文すると、はしずつ落ち着きを取り戻し、スプーンを握った。
「……ママ」
「なあに?」
「パパは、私たちの席がないこと、最初からってたのかな」
スープの湯気越しに見つめてくるの瞳には、いしみと信が宿っていた。
「パパ、美おばちゃんが私を馬の骨って言ったとき、スマホを見たままだった。
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……パパ、私のこと、本当の娘だとってないのかな」
胸が張り裂けそうだった。啓介がホテルのロビーで見せた「ここで騒ぐな」「で話そう」という態度は、単に気まずさから逃げただけではない。私たちを排除する計画を事にっていた証拠だった。
「。パパがどうっていようと、の価値はミリも変わらないよ。美しくべよう」
千円にも満たない、ありふれたファミレスの夕。しかし、悪と差別に満ちたホテルの級料理よりも、この温かいスープの方が何倍も私たちの体に染み渡った。
事を終え、マンションの自宅へ戻ったのは夜の半だった。部のは真っ暗で、啓介が帰ってきた形跡はなかった。
を呂に入れ、寝で休ませた、リビングのテーブルのに置いた私のスマートフォンが震えた。
画面に表示されたのは、義父・哲夫の名だった。
私は呼吸をして通話ボタンを押した。
『菜央さんか……本当にすまなかった』
話から聞こえる哲夫の声は、ひどく掠れ、疲労のが濃くにじみていた。
「お義父様、お疲れのところわざわざありがとうございます。はもう休ませました」
『そうか……あの子に、何と詫びたらいいか。……あのな、ホテルで獄のような事会になったよ』
哲夫が語ったところによれば、私がった、哲夫が全額を決済し、事会自体はわれたものの、会は苦しい沈黙とお通夜のような空気に包まれたという。
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哲夫は事の席で、義母のふみ子と美を激しく問い詰めた。
『ふみ子、美、なぜ菜央さんとちゃんをしたんだ!』
ふみ子は悪びれもせず、こう言い放ったという。
『だって、あの子はうちの本当の孫じゃないもの。血の繋がらない連れ子を、馬の正統なお祝いの席に同席させるなんて、ご先祖様に申し訳がちませんわ』
哲夫のりは頂点に達し、テーブルを拳で叩いて鳴りつけた。
『あの子が今まで、私のためにどれだけを砕いて準備してくれたかっているのか! おたちのその腐った根性こそ、馬の恥だ!』
さらに哲夫は、さくなって震えていた息子の啓介の胸ぐらを掴んで問い詰めた。
『啓介! 貴様、この企みをっていたのか!?』
啓介はい沈黙の、青ざめた顔で「……っていた」と状したという。
『菜央さん、本当にすまない。私の息子の浅ましさが、すべてを引き起こしたんだ』
哲夫の言葉に、私は静かに礼を言って話を切った。
だが、私ののには、まだ解けない巨な疑問が渦巻いていた。
ホテルの宴会支配は、はっきりとこう言ったのだ。
『の分、数の変更申請を承っております』
誰が、ホテルのシステムを操作させて、私との席を消したのか。美が勝に話したのか、義母が指示したのか。それとも——。
翌朝、私はで再びあのグランドホテルへと向かった。
フロントで昨の宴会支配を呼びし、契約の分証を提示して、の変更記録の示を求めた。当初の契約代表者であった私には、その記録を確認する正当な権利があった。
数分、支配が神妙な面持ちで差ししてきた枚のA4用。
そこには、の通信記録が克に印字されていた。
『変更受付: 分』 『変更内容:席数名より名へ減員(名、子供名削除)』 『変更依頼者:馬啓介(続柄:代表者・夫)』
を持つ私の指先が、激しく震えた。
義妹が勝にやったのではない。義母が画策したのではない。
私の夫であり、の父親であるはずの馬啓介自が、自らのでホテルに話をかけ、妻と娘の席を消しっていたのだ。