"義父の古希祝いで母娘の席が消えた――予約名義は私" 第3話
告げられた文字
黒いタキシードを着た宴会支配は、ただならぬ空気を察し、くをげた。
「お客様、何か違いがございましたでしょうか?」
美が馬鹿にしたように横からを挟んだ。
「支配さん、このたち部者なの。席もないのに勝に入り込んできたから、く追いしてちょうだい」
支配が困惑したように私を見た。親族たちのややかな線が、斉に私とへと突き刺さる。
私は息をく吸い込み、支配の目を真っ直ぐに見据えて、静かに、しかし会ロビー全体に響き渡る瞭な声で言った。
「予約名義は私です」
たった文字の言葉だった。
その瞬、ロビーの空気が変した。美の勝ち誇った笑顔がピタリと凍りつき、義母のふみ子が目を丸くして息を呑んだ。スマートフォンを弄っていた啓介のが止まり、青ざめた顔で顔をねげた。
支配は元の管理端末を素く操作し、画面を確認すると、さらにく腰を折って最敬礼をした。
「……失礼いたしました。藤崎菜央様。はい、違いございません。本の『桐の』におけるご宴席、ご予約の代表名義様はお客様でございます。また、既にお預かりしております内万円も、藤崎菜央様の名義にて決済されております」
ロビーにいた名以の親族たちのに、ざわざわとした揺が広がった。
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「え……? 菜央さんが予約したの?」
「付もあの子が払ってたのか……?」
美が慌てて支配に詰め寄った。
「ち、ちょっと待ってください! でも、数を変更したのは——」
「はい。システムの記録によりますと、の分、席数の変更申請を承っております」
「誰がその変更をしたのですか?」
私が徹に尋ねると、支配は瞬言葉を濁し、周囲の親族たちを見渡した。
「個報に関わる内容でございますので、契約代表者である藤崎様へ個別に……」
その、目を泳がせてや汗を流していた啓介の姿が、私の界に入った。私は支配を遮り、言った。
「結構です。誰が何をしたのかは、分に理解できました」
私は支配に向き直り、はっきりとした声で告げた。
「支配様、つお願いがございます。馬の皆様によれば、私と私の娘・はこの事会の客ではないそうです。どこの馬の骨ともれない部者であると、先ほど確に通告されました」
美の顔が引きつり、義母が狼狽えて周囲を見回す。
「客ではないが、この額な宴会の契約責任者を続けることはできません。今すぐ、契約代表者の名義を変更してください」
美が切り声をげた。
「な、何言ってるのよ! 勝にキャンセルする気!? 今集まった親戚全員に恥をかかせるつもりなの!?」
「キャンセルはいたしません。
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事会はどうぞ予定通りお続けください」
私は美の目を真っ直ぐに見つめ返した。
「ただ、私が責任を負う理由がなくなっただけです。今のお事代、総額百万円の最終支払いを引き受けるしい代表者を、今ここで決めてください。名義変更と残の支払い保証が完しない限り、この宴会を始めることはできないはずです」
支配が申し訳なさそうに、しかし毅然とした態度で頷いた。
「様でございます。代表者変更のお続きと、代表者様のクレジットカードまたは現による保証が必となります」
親族同が完全に静まり返った。百万円というの支払いを、誰が引き受けるのか。美はをパクパクとかすだけで歩ずさりし、啓介は完全に俯いて震えている。
その、親族の輪を割って、の威厳ある老が股で歩みてきた。