"妹の手術前に「家族やめれば?」――私はドナーを辞退した" 第4話
救う側にもがある
「体肺移植は、誰かがし血を分けるような話ではありません」
先は、肺の部を提供する術の図を見せながら説した。提供する側にも術の危険があり、術の肺能や活への響には個差がある。私は競技者として、呼吸の余裕をぎりぎりまで使う演技をしている。医学に競技復帰が絶対能と決めつけることはできなくても、今までと同じ準で続けられる保証はないという。
「あなたの競技を考えれば、非常にきな決断です。そもそも今回の移植が成するかは、さらに専な検討が必です。ドナーの希望だけで術が決まるわけではありません」
私は目のの検査結果を見つめた。来の国際会は、く目指してきた輪代表選考に直結している。今は代表候補のにすぎず、できると決まったわけではない。それでも、ここまで来るために私は以、怪や失敗を乗り越えてきた。
「もし私が提供したら、直美は必ず助かりますか」
「必ず、とは言えません。受ける側にもな危険があります。だからこそ、あなたが断ったとしても責められる理由はありません」
そのあと、移植コーディネーターの望さんが、族とは別の部で私と面談した。誰かに頼まれたから、族だからという理由だけで同する必はないこと。
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いったん向きなを伝えても、最終な術に撤回できること。撤回した理由を族へ説する義務もないこと。望さんは言葉を変えながら、何度も確かめてくれた。
「お姉さんなら助けるべきだとわれるのが怖いです」
「そうじること自体を、ここでは事な報として扱います。私たちは患者さんを助けたい。でも、提供する方を犠牲にしていいとは考えません」
病院の廊では、術を待つや付き添いの族が静かにき来していた。私はそので、自分が元気な体を持っていることに申し訳なさを覚えた。けれど望さんは、健康なが健康であり続けたいと願うのは当然だと言った。病気のを切にすることと、健康なの未来を軽く扱うことは別の問題なのだ。私はその説を聞き、初めて医療ので自分もの当事者として扱われているとじた。
先は、術の医学な条件だけでなく、私がどんな活をしているのかも尋ねた。練習、競技の目標、仕事の内容、将来の希望。父は度も聞いたことのない質問ばかりだった。私は答えながら、提供することによって失うかもしれないものが、単なる会の順位ではないと気づいた。練習へ通う々も、仲と笑うも、すべて私のだった。
私はそののうちに答えをせなかった。
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病で直美を見ると、酸素の管をつけた彼女が窓のを眺めていた。幼い頃の悪な笑い声と、苦しそうに呼吸する今の姿がなり、どちらか方だけを見て判断することができなかった。
数考えた末、私は検討をめるを伝えた。あくまで最終な同ではなく、移植チームが条件を確認するための段階だった。玲央さんと守さんにも話すと、はすぐには返事をしなかった。しばらくして守さんが「それは本当に広美さんが選んだこと?」と聞いた。
「はい。怖いけれど、直美がきられる能性を捨てたくないんです」
玲央さんは「支援のことは気にしなくていい」と言ってくれた。術を受けたとしても、受けなかったとしても、私の雇用やこれまでの努力への評価は変わらない。だからこそ私は、自分で考えて決めたいとった。誰かの期待に応えるためではなく、妹の命と自分の未来を比べたうえでの選択にしたかった。
その、移植チームは追加の検討をめ、族には術に向けた準備が能な段階に入ったと伝えた。私はまだ最の同に署名していなかったが、父たちは「もう決まった」と受け取ったらしい。父から届いたのは、私の体調を尋ねる言葉ではなく、「術が終わったらのことは気にしなくていい」というい通だった。
私はそれを別れの言葉だとった。けれど、父が本当に考えていたのは、私が術へ入るまで嫌を取っておき、役目が済んだら切りすことだったのだ。事会の席で、その考えははっきりと形になった。