"「3月末に出ていけ」離婚を迫る夫が知らない真実" 第6話
義父の決断と逆襲の罠
「許さん。断じて許さんぞ」
信造の全から、かつてない激しい気のオーラがちっていた。机のに広げられた調査報告を見つめる老教師の目は、鋭く研ぎ澄まされていた。
「伊佐美さん。君は私の実の娘も同然だ。妻がくなってからの数、あいつが度も顔を見せなかった、私の命を繋いでくれたのは君と徹夜だ。その恩義を踏みにじり、が物顔で族を破滅させようとするに、の名を継がせるわけにはいかない」
信造はちがり、庫から権利証と実印、そして分い類ファイルを取りした。
「すぐに弁護士を呼ぶ。あいつが法律を盾に君たちを脅すなら、こちらはそれ以の法の鉄槌をしてやる」
そのの夕方、信造の部に駆けつけたのは、信造の古くからのであるベテラン弁護士・相楽(さがら)だった。貞の証拠と秀哉からの理尽な求類を瞥した相楽は、静かに笑みを浮かべた。
「完璧な証拠ですね。ここまで骨な婚内縁関係と悪の遺棄は、裁判所も極めて悪質と判断します。先、どうなさいますか」
「徹底にやってくれ」信造は即答した。「まず、私と伊佐美さんの『養子縁組』の続きをめてほしい」
「お父さん……!?」伊佐美は息を呑んだ。
「伊佐美さん、君のご両親はくにくなっているね。
広告
私を本当の父親だとって、私の養女になってくれないか。そうすれば、君は法に私の直系の第順位相続になる」
相楽弁護士が頷きながら補した。
「ええ。そので、現信造先が所されているあのご自宅のと建物を、贈与によって直ちに伊佐美さんの単独名義へと移転登記します。贈与税の特例と諸続きを速やかに完させれば、あの軒は完全に伊佐美さん個の単独所物となります。秀哉氏にはミリの権利も残りません」
「さらにだ」信造は言葉を継いだ。「庭裁判所へ、秀哉に対する『推定相続の廃除』の申してをう」
推定相続の廃除。
それは民法第百条に定められた、被相続に対する著しい非や虐待、な侮辱をった推定相続から、遺留分を含む切の相続権を完全に剥奪する制度だった。
「にわたる親への敬、祭祀の拒否、そして何より配偶者と実子に対する悪質な詐欺遺棄。これだけの証拠があれば、庭裁判所も廃除の審判をす能性が極めてい。もし秀哉が相続から排除されれば、私の全財産は伊佐美さんと、代襲相続となる孫の徹夜だけのものになる。秀哉には、針の本すら遺さない」
信造の徹な決断に、伊佐美はくをげた。
「お父さん……ありがとうございます。
広告
私、絶対に負けません」
ここから、伊佐美の「完璧な稼ぎ」が始まった。
秀哉からは連のように催促の連絡が入っていた。 『婚届はどうした』 『くサインして送れ』 『居は決まったのか』
伊佐美は決して拒絶の志を示さず、あえて従順な妻を装ってメッセージを返した。
『徹夜の転続きやの類を調べていて、しがかかっています』 『引越し先の物件を内見していますが、母子庭の審査が厳しく、保証の件で難航しています』 『末には必ずにわせますので、もうしだけ待ってください』
焦る秀哉に対し、伊佐美はしずつ利な条件をませていった。
『養育費についてですが、学学の学費全額を支払うことを公正証にしていただけないなら、で婚届にはサインできません』
末の入籍と息子の学入学に焦り狂っていた秀哉は、舌打ちをしながらも『分かった! の学学費を負担する公正証を作成する! その代わり留は認めないからな!』とした。
財産分与についても同様だった。 『将来の活がです。解決を百万円に増額し、これも公正証に記載してください。さもなければ、庭裁判所に調を申してます。そうなればには絶対ににいません』
『クソッ……欲な女め! 分かった、百万払えば文句ないんだな! その代わりまでに絶対にていけ!』
秀哉は自ら首を絞めるように、伊佐美に極めて利な条件が並んだ制執認諾文言付きの公正証に次々と署名・捺印していった。
そして季節はを越え、決戦のが訪れた。