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"「嫁には1円もやらない」義母へ、家族3人の決断" 第15話

返還されたノートと、引かれた境界線

「お義母さん」 私が静かに声をかけると、義母は涙で濡れた顔をげ、すがるような目で私を見つめた。 「織さん……! あなたが戻ってきてくれるなら、私、何でもするわ! お茶だって自分で淹れるし、掃除だって伝うから……!」

「いいえ、戻りません」 私は切の躊躇なく、その願いを切り捨てた。 「謝罪はお受けいたします。ですが、それとこれとは別の話です。私はもう、あのには度と戻りません」

私は座卓のの、義父の古い学ノートを両で丁寧に持ちげた。 そして、義母の膝のへと、静かに押しした。

「このノートを、お返しいたします」 「……え?」義母の指先が、ノートの角に触れたまま止まる。

「これは、お義父さんがあなたのために遺したものです。、私が代わりに預かり、このの命脈を繋いできましたが……もう私の役目は終わりました。これからは、あなたご自がこのノートをき、業者へ話をかけ、回覧板を回し、自分の活を自分ので営んでください」

「わ、私に……できるわけないじゃない……! くになって、今さらでなんて……!」 「できますよ」 私は穏やかに、だが絶対の距を込めて告げた。 「は、自分がやらなければきていけない状況になれば、誰でもやるのです。あなたがやらなかったのは、能力がなかったからではありません。

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『嫁にやらせておけばいい』と、甘えていただけです」

私はちがり、台所から持ってきた温かいお茶の湯呑みを、義母とひろみさんのに置いた。 部の実の、素朴な唐模様の湯呑み。 「どうぞ、召しがってください。喉が渇いたでしょう」

義母は震える両で湯呑みを包み込んだ。 しかし、その湯呑みを元へ運ぶことはできなかった。 適温にまされた、優しいお茶の温もりが、自らの犯した罪のさを、無言のうちに突きつけていたからだ。

「もう度と会わない、とは申しません」 私は玄関へ向かいながら、背で告げた。 「お盆や正に、陽太が『バーバに会いたい』と言えば、駅のファミリーレストランでほどお茶をむくらいなら構いません。……ですが、私たちの暮らしの領域に、あなたがを踏み入れることは度と許しません。私たちのは、私たちが決めます」

義母は何も言い返せなかった。 ただ、膝のの黒いノートをぎゅっと抱きしめ、静かに肩を震わせて泣き続けていた。 その背は、のあの、玄関で私のをたく握りしめたよりも、遥かにさく、老いさらばえて見えていた。

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