"「嫁には1円もやらない」義母へ、家族3人の決断" 第10話
実の座敷に平伏した老婆
、曜の午。 つないれの朝、部の実のに台の個タクシーがした。 窓からを見ていた母が、「あら……織、田のお母さんだよ」と声をげた。
タクシーからりてきたのは、義母の久美子さんだった。 しかし、わずか週、法事の座敷でふんぞり返っていたあの傲な奥様の面は、どこにもなかった。 入れのされていない髪交じりの髪はボサボサに乱れ、トレードマークだった品な化粧も施されておらず、着ているカーディガンのボタンは掛け違えられていた。 取りは覚束なく、扉に縋り付くようにして実の玄関へ歩いてくる。
父が玄関をけると、義母は靴を脱ぐなり、がり框に両をついて々とをげた。 「部さん……織さん……! お願いです、話を……話をさせてください……!」
父は何も言わず、居へ通した。 そして母に目配せをし、階で遊んでいた陽太を連れさせた。 「陽太、じいじと公園にしい自転を見にこうか」 「うん! く!」 子供に醜いの修羅を見せないための、父のい配慮だった。
居に残されたのは、義母、孝介、そして私のだけだった。 義母は座布団を勧められても座ろうとせず、畳のに正座し、両を膝のについて、額を畳に擦り付けた。
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「織さん……本当に、ごめんなさい……! 私が悪かったわ……あんな酷いことを言うつもりじゃなかったの……!」
絞りすような謝罪。 、見し続けてきた嫁のに、老婆が涙を流して平伏している。 「をげてください、お義母さん」 私が静かに告げると、義母は涙とでぐしゃぐしゃになった顔をげた。目のには、眠と疲労による黒い隈が広がっていた。
「お願いだから……に戻ってきてちょうだい! のがめちゃくちゃなのよ! ご飯の炊き方も、掃除のパックの替え方も、どこに何があるのかも分からないの! あなたがいないと、私はもきていけないのよ……!」
れだった。 だが、その願の言葉のに、「織への謝」や「織のへの敬」は微も含まれていなかった。 あるのは、ただ「自分が便で苦しいから、便利な召使いに戻ってきてほしい」という、どこまでも利己な都だけだった。
「お義母さん。謝罪はお受けいたします。……ですが、あのに戻ることは度とありません」 私の即答に、義母の顔が絶望で凍りついた。 「な……なんでよ……!? 謝ったじゃない! をげたじゃないの!」
「謝れば済む問題ではありません」 私はちがり、階の自から持ってきた、あの冊の古い学ノートを座卓の央に置いた。 表の文字が見えるように、義母の目のへと滑らせる。
義母の線が、ノートの表に吸い寄せられた。 そして、その文字を認識した瞬――義母の呼吸が、ピタリと止まった。
【のこと――久美子には見せんでくれ。あれの面目がたん】
「こ……これ……茂之さんの……字……?」 震える義母の指先が、ノートの表に触れようとして、恐怖に弾かれたように止まった。
「ええ、お義父さんの字です」 私は静かにページをき、義父の遺した最の記述を、義母の目のに突きつけた。 の沈黙を破り、き義父が墓のからす審判のが、今まさに訪れようとしていた。