"離婚裁判で7歳の娘が見せた秘密の映像" 第8話
私の署名
契約の末尾には、私の名があった。渡辺音。印鑑の欄にも、私が普段使っている認印によく似た印が押されている。だが私はの売却に同していないし、類を見たこともない。付は柚の歳の誕だった。その、私は朝から娘のケーキを焼き、午は友達を招いていた。健太郎は張だと言って帰らなかった。
「まず原本の所を確認します。今は相を直接問い詰めないでください」
藤先は話でそう言い、売却に関わる産会社へ正式な照会を始めた。私は印鑑をしまっていた引きしを確認した。印鑑はあったが、ケースの向きが変わっている。さな違いにがあるのか分からない。それでも、夫が私のらないところで私の名を使っていた能性があると考えるだけで、背筋がえた。
翌、産会社の担当者から藤先へ回答があった。売却はまだ成しておらず、問題の類は正式な委任状ではなく、夫が持ち込んだ『族内でのを示す参考資料』だったという。担当者は私のを直接確認しておらず、続きもめていなかった。私はほっとしたが、同に夫がそのを使って私を黙らせようとしていたことに気づいた。
私は弁護士を通じて、の持分を持つ本として売却に同していないことを確に伝えた。
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産会社からは、本確認が済むまで私の持分に関わる続きをめないと返事があった。きな勝利ではない。けれど夫が私を無してを処分するをつ塞げた。その夜、久しぶりに温かいご飯を最までべられた。
産会社からの回答には、もうつな点があった。担当者は夫に対して、共名義の産は共者全員の確認が必だと説していたという。夫はそれを聞いたで、私の署名らしいものを持ち込んでいた。私は単なる勘違いではないと分かり、りをじた。けれど今は、担当者がその経緯を文で説してくれたことの方が切だった。
健太郎はその変化に気づいたらしい。夕、私のにち「産に余計なことを言ったな」とい声で言った。私は「私の名がある類ですから、確認しました」と答えた。夫はで笑い、「俺ので買ったにいつまで居座るつもりだ」と言ったが、以のように私の顔を撮しようとはしなかった。私が机にスマートフォンを置いていたからかもしれない。
私はの類をファイルに戻し、表に確認した付をいた。以なら、夫がを売りたいと言えば反対する理由を必に説しただろう。今は説を聞く相がいるし、自分の署名のも確かめられる。
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さな続きでも、私のが必なのだ。そのことが分かっただけで、のの空気にし違うがついた。
その、夫は娘への態度を層甘くした。学帰りに遊園へ連れてき、帰宅予定をらせず、私からの話にもなかった。私は学へ迎えの変更について確認し、帰宅に夫へ連絡方法を文で求めた。柚が帰ってきたには「楽しかった?」と聞き、娘の話を最まで聞いた。夫へのりを娘に向けないことが、今の私にできる反撃だった。
遊園の袋から、さな写真が落ちた。乗り物ので笑う柚と健太郎。その隣に、顔を半分だけ切られた女性の肩が写っている。柚は写真を拾い、裏返して私に差しした。「ママ、これ捨てていいよ」。私は「柚が決めていいんだよ」と返した。娘はしばらく写真を見つめ、机の引きしへしまった。
夜、夫が話で「予定どおり、の件はめる」と話している声が廊に聞こえた。相の名はなかったが、「玲奈」という呼び方だけがはっきりした。私は刻をメモし、部の扉を閉めた。、藤先に伝えよう。そうった直、夫の声がくなった。「あの子が古いタブレットを持ってるのが、どうしても気になるんだ」