"離婚裁判で7歳の娘が見せた秘密の映像" 第6話
見なかった画
私は古いタブレットにを伸ばしかけ、そこで止めた。柚は「まだ見せない」と言った。画面が点いている理由をりたくても、娘が秘密を守ろうとした気持ちまで奪ってはいけない。充器が抜けかけていたので差し直し、端末には触れず部をた。夕方、柚が帰ってくると、私は「古いタブレット、まだくんだね」とだけ伝えた。娘は瞬固まり、それからさくうなずいた。
「勝に見てないよ」と言うと、柚は肩の力を抜いた。「よかった。ママ、るとった」。私はどうしてるとったのか聞きたかったが、娘はランドセルから図館の本を取りして話題を変えた。子どもには、話したいと話せないがある。歳だから何も分かっていないと決めつけるのも、歳だから真実を語れるはずだと期待するのも、どちらも残酷だと私はった。
藤先から、健太郎が学へ提した面の写しが届いた。夫は私が娘ので泣き、庭内の争いを見せていると主張し、学側に自分だけを緊急連絡先として扱うよう求めていた。佐伯先は学の判断で片方の保護者を方に排除できないと説し、両親それぞれに同じ連絡をしてくれた。私は先の公平さに救われると同に、学まで争いのにしてしまったことが申し訳なかった。
広告
そのの帰り、柚は私のをく握った。「パパがね、ママは先に変なことを言うから気をつけてって」。私はを止めずに聞いた。娘は「でも佐伯先は、困ったことがあったらに話していいって言ったよ」と続けた。私には、娘のの温かさが何より事だった。夫の嘘を訂正するために娘へ反対の言葉を吹き込むのは、同じことを繰り返すだけだ。
私は藤先に相談し、柚に直接証拠を探させたり、録音を頼んだりしない方針を確認した。代わりに自分で集められる資料を増やした。学からの連絡帳、病院の診療記録、保護者会の席票、習い事の送迎履歴。の育児は特別なではなく、こうしたさな記録の連続だった。類を並べると、私は初めて自分が何を積みねてきたのかを目で見ることができた。
健太郎は夜遅く帰宅し、台所の封筒を見て顔をしかめた。「まだ抵抗するつもりか。柚のためならを引けよ」。私は以なら泣いて許しを求めたかもしれない。だが今は「連絡は弁護士を通してください」と答え、蔵庫に貼っていた活費の表を帳へ移した。夫は私を見ろしたまま何も言わず、乱暴に戸を閉めた。私はその刻と発言を記録した。
学では柚が保健にち寄る回数が増えていた。佐伯先は「授業はいつもどおり受けていますが、帰るにお腹が痛いと言うがあります」
広告
と教えてくれた。私は帰宅に問い詰めず、娘の好きな本を緒に読んだ。ページをめくる速さがゆっくりになり、柚は最の冊を読み終える頃には私の肩にもたれて眠った。何も聞かないにも、できることはあるとった。
翌、藤先から連絡が来た。リベルテ企画の登記報を調べたところ、代表社員は瀬名玲奈だった。事業内容には理相談のほか、産投資の助言が記されている。先は「ご主が財産を移した先の代表者と、監護について見をいたが同物であることは、利益相反を問うな事です」と言った。私は画面の文字を見つめ、やっと夫の計画の輪郭が見えた気がした。
ところが、そのの夜、健太郎からメッセージが届いた。『来週から柚の送迎は全部俺がする。おは学へ来るな』。すぐに、娘のしいタブレットにも通音が鳴った。柚は画面を見たまま、私に何も言わなかった。