"離婚裁判で7歳の娘が見せた秘密の映像" 第1話
茶い封筒
「柚は俺と暮らす。おには育てられない」
夫の健太郎がそう言ったのは、歳の娘が階でランドセルを片づけている夕方だった。私は届いたばかりの茶い封筒を胸に抱えていた。差は川法律事務所。には婚調の申の写しと、夫が用した主張面が入っていた。夫婦の話しいを度も求められないまま、私は類ので「育児を放棄した浪費」にされていた。
そのの朝も、私は半に起きて弁当を作り、娘の体操に名をき直し、健太郎のシャツにアイロンをかけた。朝の噌汁をんだ夫は「い」と言ったが、娘が席につくと急に笑顔になった。柚の髪を結ぶ私の元を見ながら「今はパパが送るよ」と言い、私には目もわせずかけた。あの穏やかな父親の顔を、私はまだ族をつなぐ希望だとおうとしていた。
面には、事の履、の定さ、無計画な買い物といった言葉が並んでいた。健太郎は自分が親権者となり、私がを退し、財産分与を請求しない形での婚を求めていた。私は結婚、印刷会社の経理課で働いていた。柚の産、夫の転勤と育児のために退職したが、のには自分の貯を百万円入れている。その事実さえ、類のどこにもなかった。
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「こんなの、事実じゃない。のことも、柚のことも、ずっと私がやってきたでしょう」
「だから何だ。俺が稼いだで暮らしてきたくせに」
健太郎はネクタイを緩め、私の元に落ちた枚を拾った。そこには私が台所で泣いている写真が印刷されていた。か、度いが続いた夜、夫にせめて娘の夕を頼んだの写真だ。彼は買ってきた総菜を置く代わりに、流しに積まれた皿と私の顔を撮ったのだった。
「俺の弁護士は、こういう証拠を全部持ってる。柚だって、どっちと暮らしたいか聞かれたら分かってるさ」
私は鳴り返しかけ、階段のでがさく鳴ったのに気づいた。柚が聞いている。喉の奥で言葉をみ込み、散らばったを拾った。夫ので泣けば、また写真を撮られるかもしれない。そう考えた自分がけなかったが、今は娘を守るために必な用だった。
柚は寝るに「ママ、も緒に朝ごはんべる?」と聞いた。私は「もちろん」と答えたが、娘はまだそうだった。夫の言葉をどこまで聞いたのか分からない。それでも私は娘ので父親の悪を言わず、の朝はいつもの卵焼きを作ろうと決めた。何も変わらないふりではなく、娘がして起きられる所をつ残したかった。
健太郎が呂に入った、私は類を枚ずつスマートフォンで撮した。
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封筒に押された付、提された写真の番号、夫の主張する財産の覧。久しぶりに経理の仕事をしていた頃の覚が戻ってきた。数字と付は、誰かの言い方によって変わるものではない。夫が私に何を押しつけようとしているのか、まず正確にる必があった。
器棚の奥には、宅を購入したの資料をまとめた青いファイルがあった。夫は契約の、私が振り込んだ百万円を「のの始まりだね」と言ってんでいた。あのは同じ類を並んで読んだのに、今は私が何も払っていないことにされている。私はファイルを別の所へ移さず、表とだけを撮した。原本をかして夫に気づかれるより、まず記録を残したかった。
娘の寝顔を確かめてから、私は寝の引きしにある通帳をいた。結婚して以来、活費と貯蓄をまとめていた健太郎名義の座だ。最に記帳したのは半で、残は千百万円を超えていた。アプリをこうとすると、見慣れない表示がた。『登録報が変更されています。再認証してください』。その変更は、夫が私を撮した夜の翌だった。