"「家は俺が守る」息子を信じた母、4年後の衝撃" 第18話
私がける扉
今の部へ移ってから、が過ぎました。
私は歳になりました。
杖はまだ使っていますが、所のスーパーくらいならでけます。気のいいは、建物の周りをゆっくり歩きます。
直はに度ほど来ます。
来るには必ず話をします。
「の午、っていい?」
「ならいるわよ」
そんないやり取りです。
ある、直が玄関へ来た、私はし悪を言いました。
「今はちゃんと聞いたわね」
直は苦笑しました。
「言われるな、それ」
「当たりでしょう」
「はい」
以なら、この会話だけで胸が苦しくなったかもしれません。
今は違います。
笑えるところまで来ました。
許したかと聞かれれば、私は今も答えに迷います。
完全に許したわけではない。
でも憎み続けてもいない。
ただ、忘れない。
それでいいとっています。
を売ったおは、自分の活と医療のために使っています。
しだけ旅にもきました。
桜井さんに勧められ、施設代の友と県の温泉へ泊したのです。
の私なら、「そんな贅沢をしたら直に残すおが減る」とったでしょう。
今はいません。
これは私と正が働き、守ってきた財産です。
私が元気にきるために使っていいおです。
あるの。
窓のに咲く桜を見ながら、私は正の写真へ話しかけました。
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「あの、もうないのよ」
もちろん返事はありません。
「でも、議ね。寂しいけど、悔はしてないの」
昔の私は「帰る所」とは建物のことだとっていました。
夫と暮らした。
息子を育てた。
自分名義の。
でも今はし違います。
自分がいつ帰るのか。
誰を入れるのか。
誰と暮らすのか。
いつ放すのか。
それを自分で決められる所こそ、自分の居所なのだといます。
あの。
古いの玄関先で、鍵の宅さんが突然顔を青ざめさせました。
「奥さん、に誰かいます」
私は、自分のを奪われたといました。
けれど本当に奪われていたのは、そのものではありませんでした。
自分で確認すること。
自分で選ぶこと。
自分で「はい」と言い、「嫌です」と言うこと。
私はそれを、誰かへ預けてしまっていたのです。
夕方、玄関のチャイムが鳴りました。
インターホンを見ると、直がっていました。
私は受話器を取りました。
「何?」
『母さん。しく着いた。入っていい?』
私は窓辺の正の写真を度見ました。
そして笑いました。
「いいわよ」
自分ので玄関へ向かいます。
杖をつき、鍵を回します。
扉の向こうに誰がいるのか。
そのをへ入れるのか。
今の私は、全部っています。
そして全部、自分で決めます。
「母さん」
扉ので直がっていました。
「ただいま、って言っていい?」
私はし考えました。
それから扉をきくきました。
「ここはあなたのじゃないでしょう」
直が困った顔をしたので、私は続けました。
「まずは『お邪魔します』よ」
息子は瞬目を丸くし、それからさく笑いました。
「……お邪魔します」
「どうぞ」
私は自分でけた扉のから、歩横へ退きました。
もう誰にも、私の居所を勝に決めさせるつもりはありません。
帰る所も。
放す所も。
そして、誰のために扉をけるのかも。
残りのは、私が決めていきます。