"「家は俺が守る」息子を信じた母、4年後の衝撃" 第13話
かの猶予
かという期は、っていたよりく過ぎました。
貞子さんと理恵は、何件もの物件を見て回りました。齢者がで暮らしやすいこと、賃がの範囲で無理なく払えること、病院やスーパーがいこと。その条件で探すと、選択肢はくありませんでした。
最終に見つかったのは、駅からバスで分ほどの古い集宅でした。建物自体はしくありませんが、エレベーターがあり、階には管理があります。徒歩圏内に総病院とスーパーもありました。
「のより狭いけど、丈夫?」
内見へ付き添った理恵が尋ねると、貞子さんは笑ったそうです。
「で掃除するには、これくらいがちょうどいいわよ」
直は最初、物件探しへ全く顔をしませんでした。
けれど契約段階になり、理恵からく言われたのか、ようやく姿を見せました。
「最初の、賃をしすよ」
直が言うと、貞子さんは最初断りました。
「自分の活なんだから、自分で払います」
「でも、俺にも責任があるから」
何度かやり取りをした末、最初のだけ、直が自分の収入から部を負担することになりました。
私はその話を聞き、「それならいいんじゃない」とだけ言いました。
償いとは、謝る言葉だけではありません。
自分が起こした問題の始末を、自分のとおで引き受けることも必です。
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引っ越しの、私は久しぶりに旧宅へきました。
業者のトラックはすでに荷物を積み終え、玄関はけ放たれていました。
貞子さんは残り、居の畳を丁寧に拭いていました。
「最まで掃除しなくてもいいのに」
私が言うと、貞子さんは雑巾を持ったままちがりました。
「、お世話になりましたから」
彼女は最に仏壇のを替え、線を本だけ供えました。
「正さん。、本当にありがとうございました」
私はしれた所で、その様子を見ていました。
やがて貞子さんが私のへ正座し、くをげました。
「さん、本当にごめんなさい」
「何について?」
「私がここにんでいたことです」
「あなた、まだそれを言うの?」
「でも私がいたせいで……」
私はし考えてから言いました。
「つだけ反省して」
貞子さんが顔をげました。
「直の言葉を信じるに、私本へ聞かなかったこと」
貞子さんは涙をこぼしました。
「はい」
「それだけ」
「それだけですか?」
「ええ。私だって、直が忙しいっていう話をも信じてたんだから」
貞子さんが、涙を拭きながら笑いました。
「じゃあ、ともですね」
「そうね。とも反省しなくちゃ」
私たちは誰もいない居で、さく笑いました。
やがて貞子さんが帰るになりました。
が閉まり、音がざかると、のは完全に静かになりました。
私はで座布団へ座り、正の写真をテーブルに置きました。
。
ずっと戻りたいとっていたです。
今なら誰にも邪魔されません。
からでも、ここへ荷物を運んで暮らし始められます。
けれど議なことに、私はすぐに「戻ろう」とはいませんでした。
階へ続く急な階段を見げました。
浴の段差。
はえ込む脱所。
広すぎる庭。
歳になった今の私が、で全部を維持することを考えると、胸の奥に別の迷いがまれました。
直が「が古い」と言ったこと自体は、本当でした。
嘘だったのは、私に選ばせなかったことです。
私はその、初めて気づきました。
私が取り戻したかったのは、必ずしもこのではなかったのかもしれない、と。