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"「家は俺が守る」息子を信じた母、4年後の衝撃" 第10話

届かなかった

い沈黙が続く、貞子さんが鞄からさな菓子箱を取りしました。古びた缶のには、通のが丁寧に折りたたまれて入っていました。

「さん……これを」

「何?」

「あなたにいたです」

私は驚きました。

「私に?」

「、ここへむことになったにきました」

貞子さんは通目を差ししました。

そこには、私のを使わせてもらうことへの謝が、丁寧な文字でかれていました。

《黒田様。このたびは切なご自宅を使わせていただき、本当にありがとうございます。お仏壇には毎朝おを供え、できる限り切に使わせていただきます。さんがお戻りになるには、すぐに退いたします》

私は途から文字がぼやけて読めなくなりました。

「これ、どうして私に届かなかったの?」

「直さんへ渡してほしいと頼みました。でも、施設活は疲れるから、余計なは渡さない方がいいと言われて」

通目はにいたものでした。

根の修理が終わったこと。

仏壇を毎掃除していること。

私の体調が良くなるよう祈っていること。

最には、

《いつか直接お礼を申しげられるを楽しみにしています》

とありました。

直は、そのも止めました。

私はを胸へ抱きました。

施設で「族に忘れられた」とじていた頃、私のでは、会ったことも数えるほどしかない貞子さんが私への謝をいていたのです。

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それを息子が消していた。

「直」

私が名を呼ぶと、彼は肩を震わせました。

「あなた、何を守りたかったの?」

「……」

「私でもない。貞子さんでもない。理恵でもない。自分が悪者にならないことだけでしょう」

返事はありませんでした。

私は藤沢先へ向き直りました。

「先。委任をやめたいです」

「宅管理についての権限ですね」

「はい。今で終わりにします」

直が顔をげました。

「母さん」

「税も保険も、今は私が管理する。私にできないことだけ、藤沢先や専へ頼むわ」

「俺がやるよ」

「いいえ」

私は即座に断りました。

「あなたには、もう頼まない」

息子の顔から血の気が引きました。

それでも私は続けました。

「だからといって、貞子さんを今追いすつもりもないわ」

今度は貞子さんが驚きました。

「さん……」

「しいを探すが必でしょう」

私はし考えました。

「か。かあれば、理恵さんと緒に探せる?」

貞子さんは目に涙を浮かべました。

「そんなに待ってくださるんですか?」

「あなたは私を騙してへ入ったわけじゃない。直の話を信じた。その責任が全くないとは言わないけど、今すぐへすようなことはしたくないわ」

理恵もをげました。

「ありがとうございます」

藤沢先は、々のき違いを防ぐため、管理権限を終すること、貞子さんがかまでに退すること、の使用についてたな銭の授受をしないことなどを、簡単な確認としてまとめました。

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直も署名しました。

最に残ったのは、おです。

で百万円。

そのうち何が実際の維持費に使われ、何が直自へ流れたのか。

「それについては、別に確認します」

藤沢先が言いました。

直は力なく頷きました。

話しいが終わった、私はで仏壇のへ座りました。

正の写真は昔と変わらない顔をしていました。

「私、甘かったわね」

さな声で言いました。

息子を信じることと、息子へ全部任せること。

そのつは同じではありません。

直の嘘が悪い。

それは違いありません。

けれど私は、息子だから疑ってはいけないとい、自分の権利を確かめることまで放棄していました。

私はもう、それをやめることにしました。

親子であっても、聞く。

親子であっても、確認する。

親子であっても、嫌なことには嫌と言う。

その、私はに失ったより先に、自分の決定権を取り戻しました。

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