"「家は俺が守る」息子を信じた母、4年後の衝撃" 第4話
歳の独
ゆり法律事務所を訪れたのは、翌週の曜でした。桜井さんが付き添ってくれましたが、役で必な証を取る続きだけは、自分のでしました。申請に「黒田」と名をく、指先がし震えました。施設へ入ってからの、私は自分名義の財産について役所で続きすることさえなかったからです。
担当してくれた藤沢子弁護士は、代くらいの落ち着いた女性でした。私が持参した委任状の控えと本確認類をつずつ確認し、事に取得した登記事項の資料を机へ置きました。
「まず、番配されていた所権についてお伝えします」
私はわず息を止めました。
「ご自宅とは、現も黒田さんの単独所です。売買された形跡も、しい抵当権が設定された記録もありません」
全の力が抜けました。
最悪の、直が勝に名義を変えたり、借の担保へ入れたりしている能性まで考えていました。
「よかった……」
声が震えました。
藤沢先は続けて委任状を見ました。
「こちらもかなり限定ですね。維持管理の範囲を超えることはかれていません」
「息子は、を見にくなと言っています」
「なくとも、この委任状を根拠に所者である黒田さんの確認を妨げるような権限は読み取れません。
広告
鍵を交換した事についても説を求める必があります」
「事だから危ないと言われました」
「規模な事なら、通常は所者に内容や費用の説があるでしょう。何も説せず、見積も見せず、鍵も渡さないというのは自然ですね」
藤沢先はし考え、言いました。
「誰かがんでいる能性はありませんか」
私は言葉を失いました。
誰かがんでいる。
その発だけは、度もありませんでした。
直夫婦が使っているのか。
へ貸しているのか。
それとも、全く別の理由があるのか。
「分かりません」
「でしたら、まずはご自で現状を確認することです。ただし、息子さんへ予告してからけば、状況を変えられる能性もあります。今の段階では事実を先に確かめる方がよいでしょう」
「鍵がかなかったら?」
「所者であることを確認できる類を持参し、鍵業者へ相談する方法があります」
自分のへ入るために鍵を呼ばなければならない。その状況自体がけなくえましたが、同に、妙な決もまれました。
法律事務所から施設へ戻るので、私は桜井さんへ言いました。
「私、この施設をたいです」
彼女は驚いてこちらを見ました。
「ご自宅へ戻るんですか?」
「まだのを見ていないから、それは決められません。でも、ここにいたら私はまた直の話を待つだけのに戻ってしまいそうなんです」
広告
桜井さんは黙って聞いていました。
「に話してくれた支援付きの宅、空きはありますか?」
駅からしれた所に、齢者向けのさな支援付き宅がありました。完全な施設ではなく、自分の部で活しながら、何かあれば階のスタッフへ相談できるまいです。
医師からも許がました。
週、私は暮らした施設をることになりました。
退所の、私は直へ話をしました。
「今、施設をるの」
「今?」
にも伝えたのに、忘れていたようでした。
「支援付きの宅へ移るのよ」
「俺、今は会議があるからけない」
その言を聞いた、以のようなしみはありませんでした。
度も面会へ来なかった息子は、母親が暮らした施設をるにも来ない。
私はようやく、その事実を飾らず受け止められるようになっていました。
「分かった。仕事頑張ってね」
そう言って話を切りました。
しい部はさなでした。向きの窓があり、段差はありません。さな台所で自分でお湯を沸かし、正の写真を棚へ置きました。
「ただいま」
誰もいない部で言いました。
そこは夫と暮らしたではありません。それでも、誰かの許を取らなくてもお茶をめる、自分で選んだ所でした。
引っ越しから。
私は朝から支度をえました。
鞄には分証、登記事項の写し、印鑑登録証、そして古いの鍵を入れました。
「今、くんですね」
桜井さんが配そうに声をかけました。
「はい」
「緒にきましょうか?」
私は首を横に振りました。
「最初だけは、自分の目で見たいんです」
、救急でをた私が、今度は自分ので戻る。
タクシーの窓から見える町並みはし変わっていました。昔空きだった所にはしいアパートが建ち、スーパーの板も変わっていました。
けれど、宅の角を曲がった瞬、私は息をのみました。
直が「根もも傷んで、事だ」と言っていた。
そのは、驚くほどきれいだったのです。
庭のはく刈られ、け垣もえられていました。根になどありません。玄関脇には、私のらない鉢植えまで置かれていました。
どう見ても、空きではありませんでした。
私はをけ、玄関へづきました。
そして持ち続けていた古い鍵を差し込みました。
鍵は、途で止まりました。
直は、本当に鍵を交換していたのです。
私は鞄から携帯話を取りしました。
今度は息子ではありません。
あらかじめ調べてあった、元の鍵へ話をかけました。