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"拾った財布で泥棒扱い――5万円の濡れ衣と反撃" 第7話

暴かれた帳簿

「失礼いたします……。事総務部の岡部次でいらっしゃいますか」

田はおずおずと面談に入ってきた。その腕のには、過数カ分の経費精算伝票の束がぎっしりと詰まっていた。

「田さん、どうしたね。今は部者のち入りは——」

「部者ではありません!」田は珍しく語気をめ、ファイルを机のにドスンと置いた。「森田さんが担当からされたため、私が引き継いだ業務管理課の支払申請類です。……どうしても、見過ごせない審な点が見つかりました」

岡部と咲が顔を見わせた。

田は震える指先で、付箋が貼られたページを次々といて見せた。

「これは、黒田主任が先と先々に申請した『社関係者との見交換会』および『取引先接待費』の伝票です。回あたり万数千円から万円の領収が、特定のイタリアンレストランから連続して発されています」

「それが何か問題なのか? 営業推のための正当な経費なら——」

「参加者の名を見てください」田は伝票の備考欄を指差した。「相先の担当者名として、医療器商社の『田様』『佐藤様』といった定型な名が記載されています。でも、私、審にって先方の総務部に直接確認を入れました。そんな会の事実は切しませんでした」

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岡部の顔がサッと変わった。

「さらに」田は別の類を突きつけた。「森田さんが以、この申請に対して差し戻しのコメントを残していました。『席者の詳細および打せ議事録の提を求めます。提なきは支払処理を保留します』と。森田さんは、この正を見抜いて止めていたんです」

咲の記憶が鮮に蘇った。週、黒田からがってきた領収の跡と名に自然な偏りがあり、社内規定に則って追加資料の提を求めたばかりだった。その、黒田は経理支援課まで鳴り込んできて「現の仕事を邪魔するな!」と激しく詰め寄ってきたのだ。

「そして、これが決定な証拠です」

田は社内グループウェアの印刷画面を取りした。黒田が業務管理課の課と事部宛てに送っていた、極秘の業務改善望メールだった。

付は、先週の曜。財布事件が起きるわずかのことだった。

『経理支援課の森田咲氏による過剰かつ偏執な類確認により、当課の正当な業務執に著しい遅延が発しております。末の支払確定までに、森田氏を担当から即刻していただくようく請いたします』

面談が、を打ったように静まり返った。

「……なるほど」岡部がく呻いた。「森田さんを棒に仕てげたのは、単なるな言いがかりではなかったわけだ」

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「はい」田は涙を浮かべながら、まっすぐに岡部を見据えた。「黒田主任は、森田さんが邪魔だったんです。森田さんが経理にいる限り、架空の接待費で私腹を肥やしていたことが完全に暴かれてしまう。だから、森田さんを銭祥事の当事者に仕てげて制に担当から排除し、その隙に別の甘い担当者に正な伝票を素通りさせようとしたんです!」

点と点が、本の太い線で繋がった。

なぜ黒田は、も確認せずに受領にサインしたのか。

なぜわざわざ勢の社員ので、咲を名指しして「万円を盗んだ」と叫びてたのか。

そして、なぜ咲がシングルマザーであることを引きいにし、活苦を理由にしたのか。

すべては、咲の信用を社内で完全に失墜させ、経理の席から永久に追放するための、酷に計算された罠だったのだ。

「森田さん……」田が咲に向き直り、々とをげた。「私、怖くて……あの朝、森田さんが目ので責めてられていた、何も言えませんでした。湯でも、みんなに流されて……本当にごめんなさい! でも、森田さんがいつも几帳面に残してくれていたチェック記録があったから、この正に気づくことができたんです!」

咲は静かにちがり、田の震える肩にそっとを置いた。

「ありがとう、田さん。あなたが勇気をして記録を掘り起こしてくれたこと、から謝します」

咲の瞳には、もはや片の迷いもなかった。

「岡部次。これで、単なる落とし物のトラブルではなくなりましたね。会社の資産を私に横領し、それを隠蔽するために無実の同僚を罠に嵌めた。これは確な懲戒事由です」

岡部はゆっくりとちがり、鏡をして眉を押さえた。そのには、事監察官としての徹なが戻っていた。

「……業務管理課・黒田美保主任に対する特別監査を、これより直ちに始する。森田さん、君の完全な名誉回復と、この事態の落としは、私が責任を持ってつけさせる」

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