みかん小説
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"夫の愛人を家に招いた義母、3日後の悲鳴" 第20話

広尾の、朝のローズマリー

〇、初。 京・港区麻布に隣接する、広尾の閑静な級宅。 のハナミズキが美しくづき始めた坂の角に佇む、層型の最級ヴィンテージマンション。

百平米を超える広々としたリビングの面には、質なホワイトオークの無垢材が敷き詰められ、均で柔らかなの温もりが部全体を満たしていた。 ここは、桜が婚訴訟で勝ち取った慰謝料と求償のに、自らの役員報酬をわせて、宅ローンなしの完全括キャッシュで購入した、彼女の真のだった。 登記簿謄本の所者欄には、誇りく、ただの名が刻まれている。 ――【藤堂桜】。

「桜、ベーコンはカリカリにする? それともし柔らかめがいい?」 オープンキッチンの向こうから、柔らかなカシミヤニットを着た親友の彩が、トングを片に笑顔で声をかけてきた。週末のブランチを作りに遊びに来ていたのだ。 「カリカリに焼いて! 目玉焼きは半熟でね」 ベランダから、桜の澄んだるい声が返ってきた。

向きの巨なパノラマウィンドウの向こう、広々としたプライベートテラスには、の透き通った陽が惜しみなくり注いでいた。 テラスのテラコッタ鉢には、桜が切に育てているイングリッシュミントとローズマリーが、青々と瑞々しい葉を広げている。

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オーガニックコットンのよいルームウェアを纏い、髪を無造作にアップにまとめた桜は、アンティークの真鍮製ジョーロをに、植物たちへ優しくを注いでいた。

数ヶの完全な休息と、何物にも縛られない自由な活。 かつて彼女の瞳に張り付いていたワーカホリックの疲労と、庭を維持するための苦渋のは、跡形もなく消えっていた。 夜に鳴り響く赤字補填の話に怯えることもない。 傲な姑の顔を窺いながら、えた牛脂の鍋を見つめることもない。 自分の、自分の稼ぎ、自分ののすべてが、完璧に自分自のコントロールに戻ってきたのだ。

テラスのガラステーブルので、スマートフォンがく振した。 桜がジョーロを置き、画面を覗き込む。 ロック画面に表示されていたのは、拓也から送られてきた、あの惨めな願のメッセージのプレビューだった。 『……本当にべるものがなくて、気も止まりそうなんだ……』

桜の美しい双眸には、片の揺も、嘲笑のすら浮かばなかった。 トーク画面をくことすらしない。 ただ、無造作に親指をからへスワイプし、迷うことなく【削除】をタップした。

画面から、寄虫の最の痕跡が、永に消された。

「桜、できたわよー! 最のフレンチトースト!」 キッチンの彩が呼ぶ声がした。

「今くわ」

桜はスマートフォンを伏せてテーブルに置き、眩しい空を見げた。 真鍮のジョーロから放たれた微細な滴が、朝のを浴びて、テラスのにさなの虹を描きしていた。 ふわりとい落ちた粒の雫が、ローズマリーの葉の先で、ダイヤモンドのように清らかに輝いていた。

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