"夫の愛人を家に招いた義母、3日後の悲鳴" 第15話
棒猫の逃劇
「どうでもいい女、ねえ」 桜の元に、嘲笑の笑みが浮かんだ。 「なら、そのしてやまない結菜さんに頼めばいいじゃない。あなたの母親も言っていたわよ。『結菜ちゃんこそ男をてる本物の女だ、桜なんかよりずっとお似いだ』ってね。彼女に会社へ資してもらって、の借を肩代わりしてもらえばいいでしょう?」
その言葉がた瞬、拓也の顔は、よりも酷い気へと変した。 男のから漏れたのは、自らの浅ましさを証する、れな告だった。
「に……逃げられたんだよ……!」 「あら?」 「昨の夜、会社の座が凍結されて、マンションも俺の名義じゃないって分かった途端……あいつ、タワマンのリビングにあった自分のブランドバッグやを全部引っ張りして、てっちまったんだ! 母さんが止めようとしたら、母さんを突きばして『この貧乏ペテン師親子が! がないなら最初から寄るな!』って罵声を浴びせて……!」
拓也は両で顔を覆い、しゃくりげながら嗚咽を漏らした。 「俺が先週買ってやったブルガリのネックレスまで質に持ってかれて、LINEも話も全部ブロックされた……! あいつ、最初から俺の目当てだったんだ! 桜、俺が悪かった! 俺が愚かだったんだ! おしかいないんだよ、俺を本当に支えてくれるのは!」
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がまり、たい滴が桜の頬をかすめた。 目のでいつくばる男の姿。 彼が今、涙を流して座しているのは、妻を裏切ったことへの反省からではない。 ただ、「無限にを引きせる都のいいATM」を失い、自らの無能さで破滅していく恐怖に怯えているだけなのだ。
「拓也」 桜はトレンチコートのポケットにを入れ、静かに告げた。 「あなたが私の買ったにを引き入れ、私の買った器で肉をべさせたその瞬から、こうなることは決まっていたのよ」
「桜! 頼む、捨てないでくれ! 母さんは青森の実に送り返すから! これからは俺が事も全部やるから! だから座の保証を……!」
「の婚姻関係に免じて、最につだけ忠告してあげる」 桜は背を向け、ホテルの自ドアへとを向けた。 肩越しに、徹な最通牒を投げ落とす。
「もうんでしまった関係ので、物乞いをするのはおやめなさい。……いうちに、庭裁判所から届く訴状をおとなしく待つことね」
「さくらぁぁぁぁぁッ!!」
回転ドアが閉ざされた。 警備員のを振り解こうとしてバランスを崩した拓也は、のに顔面から突っ込み、度とちがることができなかった。 男の絶望な慟哭は、京のたいのに、跡形もなく掻き消えていった。