"義実家同居を勝手に決めた夫、私は別の新居へ引っ越した" 第9話
親戚にも「私の希望」になっていた
の曜、昼にらない番号から話が来た。
ると、義母の姉・君さんだった。
盆と正の集まりで顔をわせる程度ので、普段連絡を取りうことはない。
「苗さん、急にごめんなさいね。睦子から番号聞いたのよ」
し言いにくそうな声だった。
「あなた、自分から同居を言いしたんでしょう? 偉いわねって親戚で話してたのよ。今どき、自分からお姑さんと暮らしたいなんてお嫁さん、なかなかいないから」
私はしばらく言葉がなかった。
「君さん。私、同居したいと言ったこと、度もありません」
今度は君さんが黙った。
私はに初めて同居をらされたことから順番に説した。
ずっと断っていたこと。
万円を義実へ入れる話。
引っ越しのまで勝に決められたこと。
現は自分で借りた部にんでいること。
誰かを悪く言う表現は避け、起きたことだけを話した。
話し終えると、君さんはいため息をついた。
「睦子からはね、苗さんの方から『緒にませてほしい』って頼まれたって聞いてたの」
「私が?」
「に入ってから、親戚に話してたわよ。うちの嫁は気が利くって、それは嬉しそうに」
さらに正吾も、親戚へは「苗が希望した」と説していたらしい。
管理会社だけではなかった。
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義母と正吾は、それぞれ自分たちが都のいい物語を周囲へ先に配っていた。
「睦子ったら、から楽になるってあんなに張り切ってたのに……」
君さんはそこまで言って、急に黙った。
私は聞き返した。
「楽になる?」
「ううん。何でもないの。ごめんなさいね、私、何もらなくて」
話が切れた、私はしばらくけなかった。
から楽になる。
引っ越し当の夜、義母が言いかけた「あなたがいなかったら――」という言葉と、ぴったりなる気がした。
翌晩、正吾から話が来た。
「そろそろ戻って来いよ。母さんももうってないから」
「同居しない条件なら話しう」
「それは無理」
正吾は迷わなかった。
「もう親戚にも同居するって言ったんだよ。会社の課にも話してる。今さら嫁が来ないなんて言えるかよ」
私は呆れて言葉を失った。
正吾が守りたいのは、夫婦ではなかった。
「親と同居する孝息子」という自分の姿だった。
「君さんから話があったよ。私から同居を言いしたことになってるって」
「それは母さんが言ったんだよ。俺じゃない」
「君さん、正吾からもそう聞いたって言ってた」
正吾は黙った。
しして声の調子を変えた。
「だいたい、おは俺に黙ってをたんだぞ。引っ越し業者に聞けば分かる。俺は実か所で頼んだんだから」
「業者さんに聞くの?」
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「ああ。婚とかになったら、悪いのはそっちだからな。夫に黙ってていった嫁なんて、誰が方するんだよ」
正吾の声には、自分が勝つと信じているの響きがあった。
話を切った、私は暗い窓をく見ていた。
問題はもう同居だけではなかった。
私が何を言っても、正吾は自分に都のいい言葉へ置き換える。
「嫌だ」は「解」になり、「反対」は「妻の希望」になり、最には「黙ってていった嫁」に変えられる。
この先何緒にいても、同じことが起きる。
その夜、私は決めた。
婚について、第者を入れて正式に話をする。
そして翌、ゆりさんがの弁護士を紹介してくれた。
先という、代の女性だった。
私がからの来事をすべて話し終えるまで、先はほとんどを挟まなかった。
最につだけ聞いた。
「ご主は、引っ越し業者に聞けば分かる、とおっしゃったんですね?」
「はい」
「当の打ちわせ内容が分かるものは、何かお元に残っていますか?」
その質問を聞いた瞬、私はのことをいした。
義母と話をしながら、正吾がも見ずに署名した枚の。
ずっと封筒のへしまっていた、引っ越し業者の作業確認だった。