"義実家同居を勝手に決めた夫、私は別の新居へ引っ越した" 第4話
私の「嫌」は、最初から数に入っていなかった
その夜、私は先輩のゆりさんからもらったメモ用を取りした。
数、を探す話をしたとき、ゆりさんから「譲れないことをついておきなさい」と言われていた。そこには、自分でいたつの条件が並んでいた。
職まで以内。
台所は私が使いやすいようにする。
週末のどちらかは自分のにする。
義実へめば、そのつが全部消える。
翌朝、正吾は玄関で靴を履きながら言った。
「母さんには苗も解したって言っとくから」
「待って。解してないよ」
私が追いかけると、正吾は笑った。
「分かってるって。でも母さんをがっかりさせても仕方ないだろ。どうせそのうち慣れるんだから同じだよ」
ドアが閉まり、私の「待って」という声だけが玄関に残った。
、義母からLINEが来た。
《苗さんのお部、片付けておいたからね》
写真には階の畳が写っていた。
壁際に古いタンス。窓のにシングルベッドが台。の抜けた青いカーテン。そこは正吾がまで使っていた部だった。
「これが私たちの部だって」
リビングでコーヒーをんでいた正吾に見せると、嬉しそうに画面を覗き込んだ。
「ちゃんと片付けてくれたんだな」
「ベッド、つしかないよ」
「寝られればいいだろ」
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「どうやってで?」
正吾はし考えた、何でもないことのように言った。
「最初はおがに布団敷けばいいじゃん。そのうち母さんがしいの買うって」
私がに寝ることまで、もう決まっていた。
さらに義母からのLINEは続いた。
《朝は私がいから、半には朝お願いね》
《買い物は苗さんのできましょう》
《お父さんのお弁当もお願いできる? 卵焼きは甘いのよ》
《お呂掃除は若いの方が腰にいいし、お願いね》
《洗濯物は朝のうちに干してね。所の目があるから》
昼休み、私はその画面をゆりさんに見せた。
ゆりさんはしばらく黙って読み、やがて言った。
「これ、政婦さんの求票みたいね。仕事だけ全部いてあって、料の欄がないけど」
苦笑することもできなかった。
「やっぱりそう見えますか?」
「旦さん、あなたが嫌だってってるの?」
「はっきり言いました」
「それで?」
「慣れれば丈夫って」
ゆりさんはスマートフォンを私へ返した。
「苗さん。嫌だって言ったこと、どこかに残しておいた方がいいよ。だけだと、で言った言わないになるから」
その夜、私は正吾にも義母のLINEを見せた。
「これ、全部私の仕事になってるけど」
正吾は画面を流し見して肩をすくめた。
「族なんだから分担すればいいじゃん」
「分担? 朝、お弁当、洗濯、お呂、買い物。全部私だよ。
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正吾は何するの?」
正吾は初めて考えるように井を見た。
そして、しばらくして答えた。
「庭のこととか」
私は笑いそうになった。
義実の庭にはが本と物干し竿がある程度だ。義父がに度、もかけずにを刈っていた。
対して私は、朝分に起して朝と弁当を作り、洗濯物を干してから片半かけて会社へく。残業の、帰宅すれば呂掃除まで待っている。
「私の仕事はどうなるの?」
「母さんだって今まで全部でやってきたんだ。しくらい楽させてやれよ」
その言で、私はようやく気づいた。
これは同居の話ではない。
義母がこれまでやってきたことを、私へ引き継ぐ話なのだ。
、で話しうことになった。
義実の居で、私ははっきり言った。
「私は同居に賛成していません」
ところが義母は笑った。
「またまた。正吾から聞いてるわよ。苗さんもいいって言ってるって」
「言っていません」
そのとき正吾が突然を挟んだ。
「母さん、実には万円くらい入れればいいって」
私はを疑った。
「万円?」
今の賃は万千円だった。
賃が浮くから理だと正吾は言っていた。
それなのに義実へ万円渡せば、差額はたった万千円。
しかも通勤も事も増える。
「その万円、誰のためのおなの?」
私が聞くと、初めて義父が聞を畳んだ。
「わしの仕事がで変わるんだ。から週になる。料は今の半分もない」
正吾が目をそらした。
私はその横顔を見た瞬に分かった。
正吾は最初からっていた。
そして義父の収入が減るにわせて、私たちを実へ戻そうとしていたのだ。