"義実家同居を勝手に決めた夫、私は別の新居へ引っ越した" 第2話
義母の質問が変わった
の終わり頃から、義母の話の内容が変わった。
それまでなら必ず夕飯の品数を確認してきたのに、ある曜、いきなり「苗さん、朝は何に起きるの?」と聞かれた。私は理由も分からないまま「分です」と答えた。
「まあ、遅いのね。うちは半よ。お父さんがにはをるから」
翌にはについて聞かれた。
「苗さんの、あのさいのまだ乗ってる?」
「はい。買い物にも使ってますけど」
「あら、そう。それならいいの」
それならいい、とは何がいいのか。そのときは分からなかった。
さらに翌週には料理の話になった。
「度に何品くらい作れる? お弁当は作ったことある?」
「夕飯なら品か品です。お弁当は自分の分を々……」
「品ね」
義母は確認するように繰り返し、「お父さんは卵焼きが甘い方が好きだから覚えておいてね」と続けた。
私はわず聞き返した。
「お義父さんの卵焼きですか? どうしてですか?」
「嫁ならっておいて損はないでしょう」
話を切ったも、その言葉が妙に引っかかった。
、義母が気にしてきたのは正吾の事だった。それが突然、私の起、、料理の量、義父の弁当へ変わった。私というが何をどれだけできるのか、何かの採用面接のように確認されている気がした。
同じ頃、正吾の帰宅が遅くなるが増えた。
広告
週に、度、を過ぎて帰ってきては、義実くのパンの袋を持っている。昔から正吾が好きなで、義実へった帰りに何度か寄ったことがあった。
「お母さんのところに寄ったの?」
「ああ。仕事でくまでったついで」
そう答える割に、「ついで」は毎週のように続いた。
ある夜、夕飯をべながら正吾がふと言った。
「実の階ってさ、俺の部も隣もほとんど物置になってるんだよな」
「そうなの?」
「まで使ってたベッドとか古いタンスとか、母さんが捨てられないんだよ。もったいないよな」
正吾は何でもないことのように噌汁をすすった。
その数には、「の終わりって休取れる?」とも聞かれていた。
「の売りしが落ち着けば取れるとうけど。何かあるの?」
「まだ決まってない。決まったら言う」
義母の質問。正吾の義実通い。階の部。休。
何かが本の線でつながりそうなのに、私はその先を考えないようにしていた。
そんな、の結婚記を迎えた。
毎このだけはでをすると決めていた。今は正吾が、結婚によく通った駅のを予約してくれた。
「か。いな」
ワイングラスをわせたときだけは、私は最の違を忘れられた。
ところがデザートが運ばれてきた頃、正吾のスマートフォンが鳴った。
広告
画面には「母」と表示されている。正吾は当然のように席をち、のへていった。
分、戻ってきた正吾は笑いながら言った。
「母さんが結婚記おめでとうって。それと、でべるなんて贅沢ね、で作ればいいのにって」
私は笑えなかった。
おめでとうのには必ず言が付いてくる。それが義母だった。
正吾はをみ、それから何気なく続けた。
「それとさ。そろそろのこと、考えようか」
私は驚いて顔をげた。
今までを買いたいと言っていたのは私の方だった。仕事用の机から資料がはみすたび、「もうし広いところにみたい」と言っても、正吾はローンが怖いからまだいい、と先延ばしにしてきた。
「本当に? どの辺がいいとか考えてるの?」
「部数はあった方がいいな。庭もあるし、も置ける方がいい」
「通勤がすぎるのは困るよ」
「くても慣れれば平気だろ。母さんたちもぶとう」
私はその言葉を、自分たちがを持てば義両親もする、というだとった。
帰り、駅に置いてあった宅展示のチラシを枚取り、鞄にしまった。
翌には宅雑誌まで買った。
しかし夕飯の、雑誌をいて見せると、正吾はほとんど興を示さなかった。
「ほら、この取り、キッチンからリビングが見えるよ」
「うん。まあ」
「のこと考えようって言ったの、正吾でしょ?」
正吾はスマートフォンを触ったまま言った。
「そのうち話すから」
その瞬、私は初めて気づいた。
正吾が考えている「」と、私が像している「」は、もしかしたら最初から違うのではないか、と。
その答えは、わずか、夕飯の卓でいきなり告げられた。