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"昭和46年、優勝した妻に夫が告げた「帰るな」" 第13話

笑いものになった父

業の親睦会の、信夫は朝から嫌が悪かった。担当者として席するのに、ボウリングの腕には自信がない。鹿島は「緒に練習しましたやろ」と笑ったが、回投げただけで首が痛くなった記憶しかない。会には得先の社や部も来ていた。信夫は失敗するところを見られたくなかった。

会の挨拶を済ませ、順番が来た。信夫の球はまっすぐ転がり、途からへ曲がって溝に入った。得先の男が笑った。「奥さんに習わなあかんな」。信夫も笑い返そうとしたが、顔が引きつった。投目は本しか倒れなかった。鹿島が励ますと、信夫は「この球が悪い」と言い、別の球を選びにった。

子はその、教の用具を片づけるため奥の倉庫へ来ていた。会を見にくつもりはなかったが、青柳に「お父さん、し困ってるみたいですよ」と言われてち止まった。レーンの端では信夫がきな球を無理に抱え、さに振り回されていた。子はづきかけ、を止めた。夫が助けを求めていないのにへれば、また彼の顔を潰すかもしれない。

その、由美がのへ入った。「父ちゃん、その球、穴がってへん。青柳さんに聞いたらええ」。娘の声はきかったが、馬鹿にする響きはなかった。信夫はむっとしたものの、青柳に球の選び方を尋ねた。

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今度はし軽い球を持ち、ゆっくり歩いた。本倒れた。周りから拍が起こり、信夫は照れくさそうにをげた。

信夫はその、球を選ぶに指穴へを入れ、無理なく抜けるか確かめるようになった。由美が「父ちゃん、うまくなってきたやん」と言うと、信夫は珍しく嫌よく笑った。だが次のフレームでまた溝へ落とし、今度は誰のせいにもせず首をひねった。信夫は本残ったピンを見ながら、子が教で徒へ何度も言っていた言葉をいした。「失敗した理由を緒に見ましょう」。あのは甘い励ましに聞こえたのに、今ならしが分かる。

休憩、得先の社が子に話しかけた。「奥さん、うちの女も教にきたがってます。男が肩狭うなるくらい、皆うまくなってもろたらええ」。冗談めかした調だったが、子にはし引っかかった。女たちがになれば男が困る、という考え方が当たりのように残っている。「奥さんが楽しめたら、それでええといます」と答えると、社は瞬きょとんとした。

会の、信夫の会社では写真が配られた。信夫が球を持って困った顔をしている枚を鹿島が選び、社員の笑いを誘った。以の信夫ならっただろう。しかし彼はその写真を机にしまい、「次はもうしましな顔で写りたいもんや」

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と言った。鹿島が「また練習しますか」と尋ねると、信夫は「今度はちゃんとを取る」と答えた。

夜、信夫は子に話した。桂子が受話器を渡すと、夫は用件から話し始めた。「今、見てたやろ。あれはひどかったな」。子は笑いをこらえ、「最初は誰でもそうやで」と言った。信夫は「教に入れてもらう資格、あるかな」と冗談を言った。子はすぐには答えず、「習いたいなら、青柳さんの初者講習から始めたらええ。私は婦教があるから」と返した。

信夫はし残そうにしたが、無理に頼まなかった。妻に教えてもらえば夫婦が元に戻るというような、簡単な話ではないことも分かり始めていた。話を切った子は、まだが揺れるのをじた。信夫の失敗を見て胸がすっとしたわけではない。あのにも、失敗して笑われるのが怖いがあったのだとったのである。

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