"昭和46年、優勝した妻に夫が告げた「帰るな」" 第7話
を貸す値段
栗田は業の申込をいったん返した。子本の同がない条件は受け付けられないし、会員名簿を宣伝に使うことも許さない。ただ、会社の貸切を断れば売が減る事は変わらなかった。彼は子へ週だけの試を提案した。「曜の昼、レーンを半。料は先払い。それで入会者が増えたら、改めて相談しましょう」
子は利用料を計算し直した。のうち初回に来られるのは。残りは仕事やの都がある。賞から会費をせば、計には円も戻らない。桂子が「最初はあんたの持ちしになるね」と言うと、子は「それでも、ただで来てもらうのは違う」と返した。利用者にはしずつでも料を払ってもらい、続けられないのために回ごとの参加も認めることにした。
教の、青柳が古い靴を並べて待っていた。借り物の球を使うは、指穴に無理をさせないこと。さより、自分のでバランスが取れるものを選ぶこと。子も改めて習った。優勝して以来、に教えられるとい込んでいた自分をし恥ずかしくじた。「私、先やのに、教わってばっかりやね」。青柳は笑った。「先は全部ってるやなくて、習う順番を考えられるですよ」
初の参加者はだった。京子は球を持ったままろへがり、澄子は靴の紐を度結び直した。
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初枝は昼休みのいを使うため、職の作業着のに着を羽織って来た。「私、分だけで帰るわ」。子は予定を変え、最初の分を球の持ち方と歩き方だけに使った。初枝は投げる刻が遅くなって腹をてたが、度球を転がすと「もう回だけ」と戻ってきた。
歳い義母の世話をしている井たみは、初めての球を溝へ落とした。隣で京子が笑い、たみもつられて笑った。だが次の瞬、たみは首を押さえた。球がく、無理に持ちげたのである。子はすぐ練習を止め、青柳と緒にやした。きなけがではなかったが、たみは気落ちした。「寄りが来るところやなかったね」。子は「今は見てるだけでもええですよ」と勧めたが、その言葉では慰めにならなかった。
見学席へ戻ったたみは、自分の首を見ながら「私らの歳になったら、で失敗するのが番怖い」と話した。子は返事を探し、しばらく球の戻る械の音を聞いていた。洗濯物を抱えて転んだには所のが助けてくれるのに、初めて来た所では失敗するだけで居所がなくなった気がする。子はその気持ちが分かった。「次は投げるところまでかんでもええです。靴を選ぶだけのがあってもいい」。たみはし考え、「それなら来週も来るわ」と言った。
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子は初めて、教えることが必ずしも球を投げさせることではないとった。
終、栗田は事故にならなくてよかったと胸をなでろした。「参加するの力にわせて、無理をさせないでください」。子は自分が皆を楽しませようと焦りすぎたことを認めた。たみのために軽い球を確かめ、しばらくは投げずに見学だけでも参加できるを設けた。料の相談も必だった。何もかも自分では決められない。
そのの夕方、信夫は取引先との酒席で子の教の話を聞かされた。相の妻も参加していたのである。「ご主、奥さんの教、ええもんですな。うちの内が久しぶりにあんな顔して笑うた」。信夫は曖昧にうなずいた。妻のことをのだけの問題だとっていたが、すでに町のたちの暮らしとつながり始めている。その事実が、まだ素直にはべなかった。