みかん小説
本棚

"昭和46年、優勝した妻に夫が告げた「帰るな」" 第6話

の名

子は栗田に「そのをどこにも回さないでください」と頼み、話を切った。桂子ののさな居には、申込者たちの息づかいが聞こえるほどの沈黙が落ちた。の名と連絡先は、教に来るを呼ぶために預かったものである。勝に会社へ渡してよいものではない。初枝はの司にられたら、勤務のことまでをされるかもしれないと顔を曇らせた。

由美が鞄から枚のをした。「母ちゃん、私が悪いかもしれん」。母が申し込みを集める、由美は連絡用のをガリ版で作っていた。その版を度の机に置いたまま学へったという。「名はまだいてへんかったはずやけど」。子は別のことをいした。、に寄って替えのを取った、最初のの連絡先を便箋に写し、台所の棚へ置き忘れてきた。残りの名は、その桂子ので加えたはずだった。

翌朝、子と由美はあさひボウルの事務で問題のを確かめた。分が清された用は、教の申し込みを受け付けた順とは違う並びになっている。所の部に誤りもあった。栗田は「鹿島さんが『奥さんの協力を得た』と言って置いていかれました」と説した。子には鹿島が誰なのか分からなかったが、由美は父の会社の青だとっていた。

広告

子はそので会社へき、鹿島を呼びした。若い社員は最初、会社のためになることをしただけだと弁解した。「奥さんの教も広告に使えば、どちらにも得ですやろ。お名は所の方に教えていただいたんです」。だが連絡先の由来を尋ねると、ごもった。結局、信夫がの机から分の控えを渡し、残りは受付で子の署名を見せてもらって補ったと分かった。

「教はまだ始まってません。どうして、私が会社の広告に使われなあかんのです」

「せやけど奥さん、いまは何でも宣伝の代です。婦教の会員さんにしい製品を買うてもらえたら、うちもも助かる」

信夫が応接へ入ってきた。「鹿島、余計なことを言うな」。子は夫を見た。「あなたがを渡したんやね」。信夫はうなずかなかったが、否定もしなかった。自分の妻の申込なら会社へ見せても構わない、と本気でっていたのである。「内のすることは、私が責任を取ります」と鹿島に言うと、子は初めて声を荒らげた。

「私が預かった名の責任は、私にあります。あなたが勝に取ってええものやありません」

子は鹿島に、申込の料欄は誰が決めたのか確かめた。鹿島は「広告の見積もり用に、私が数字を入れました。まだ会員さんには配っていません」と言った。勝な数字を載せたままへしたことを認め、用はそので回収された。

広告

信夫も、本の承を得たとかせたのは自分だと栗田へ話で伝えた。会社のの会話なら曖昧に済ませられたことが、の約束のに残ると急にくなった。

子はにずつ事を説し、控えを渡した相をらかにした。帰り、参加をやめると言ったがいた。責められるのは仕方ない。子は名をいたをしくつくり直し、今度は本ので封筒に収めた。桂子は「事なものは事に扱う。商売の基本や」と言って、のさな鍵付き抽斗を貸した。

夜、信夫は子へ話をかけようとしたが、受話器を置いた。部の鹿島は気の利く男だとっていたのに、妻の教を販促に使う話を勝に広げた。しかし分の控えを渡したのは自分であり、申込に本の承があると信じさせたのも自分だった。会社のためと言えば、妻のものを勝に使ってよいとったことに、初めて理屈の通らなさをじていた。

子は翌朝、が取り消したのへ、教がいつ始められるかまだ決まっていないとらせた。京子は話で「私は待つわ」と答えた。数は減ったが、子は昨よりしだけ背筋を伸ばしていた。最初の約束を破ったまま教をくことだけは、もうしないと決めたからだ。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: