"昭和46年、優勝した妻に夫が告げた「帰るな」" 第4話
曜の空きレーン
子は栗田につのを求めた。曜の午に初めて球を持つを集め、別のの朝には交代勤務のにも使えるを設けたい。栗田は首を横に振った。「朝は械の点検があります。夜は会社の貸切で埋まってる。いま空いてる曜だけでもありがたいとってもらわんと」。客の来ないでも、照や備の費用は掛かる。子にはそれが分かったから、黙って利用表を見直した。
そこへ若い係員の青柳俊彦が入ってきた。プロの試験を目指していたが、まだ格していない歳の青である。「昼のから半なら、部のレーンを使えます。点検を倒しすれば」。栗田は「おがやるなら、備は誰がする」と言った。青柳は「僕がく来て片づけます」と答えた。子はわず礼を言ったが、彼が無償で働くつもりではないことにも気づいた。
「く来てもらうなら、その分のお料がりますね」
栗田が苦笑した。「あんた、そういう勘定だけは抜け目ないな」。子は顔を赤くした。青柳は「料をもらうのはからです。相談すべきは、余分の仕事をどう組むかでしょう」と言った。は点検表を持って倉庫へき、子はその、レーンの端で球を投げた。練習では百点。優勝したのごたえは再現できず、指先だけに余計な力が入った。
広告
夕方、栗田から話があり、昼休みのに回試験な教をく許がた。ただし申込者は別枠で、靴と球の扱いに責任を持つが必だという。子は枚ずつ話をかけた。印刷の初枝はんだが、夫の帰宅刻によっては子を預けられないもあると言う。節子は会社の昼休みなら来られるが、制のままでは恥ずかしいと笑った。会いたいは増えるのに、使えるは細い帯のように限られていた。
方、信夫の勤める業では、販売促の会議があった。若の鹿島は、くのボウリングで得先を招いて親睦会をく案をした。取引先が増えればの注文も増える。課は賛成し、信夫に会との交渉を任せた。鹿島が資料に添えた聞の切り抜きには、トロフィーを持った子の写真が載っていた。
「榎本さんの奥さんが優勝したとこなら、話も通りやすいでしょう」
信夫は資料を裏返した。鹿島は悪気なく続けた。「昼の空きレーンまで借りて、会社対抗の練習会にしませんか。あれだけ客が来るんやったら、もびます」。信夫の胸に、数の栗田の言葉がよみがえった。「引き受けられるかどうかは奥さんに決めてもらいます」。会社からなら、支配も無できまい。信夫は翌、あさひボウルへ話すると言った。
同じ夜、子は参加者のを回った。京子はの帳で名をき、澄子は「初めからなと緒やと怖い」と言った。子は全員の申込の裏に、できることではなく困ることを尋ねていた。腰が痛い、靴の寸法が分からない、子どもを迎えにく刻がある。数えれば。初めて予約の条件を満たす数になった。
んで桂子のに戻ると、娘が話のそばに座っていた。「母ちゃん、父ちゃんがあさひボウルにくって」。子は理由を尋ねなかった。由美が言った。「会社の事のためらしいけど、昼のレーンも全部押さえるつもりやて」。子は申込を持ったまま、しばらくかなかった。ようやく始められるとった教が、夫の会社の企画つで消えるかもしれなかった。