"出征前夜、夫から突然の離縁状――日記に隠された本心" 第11話
最の記
記の最の頁は、枚なっていた。
墨が滲んでくっついていたため、以読んだには気づかなかったらしい。指で慎にはがすと、そのに征夜の付があった。
『タエさんのへった。』
私は息を止めた。
『キヌを戻すことになるかもしれないと伝えた。嫌な顔をされた。費がかかると言うのでを渡した。』
そこまでは叔母の話と致していた。
続きがあった。
『もし俺が戻らなければ、再婚を勧めても構わない。ただし本が嫌がるなら無理に決めないでくれと頼んだ。』
私は目を閉じた。
やはりそうだった。
あのは最まで、私自に選ばせようとしていた。
だが、自分から私を縁することだけは勝に決めた。
矛盾しただとった。
器用で、馬鹿なだとった。
そして、その器用さがどうしようもなくおしかった。
最の文章はかった。
『本当なら、帰ってきたら緒に暮らしたいと言いたい。だがそれを言えば、キヌは待ってしまう。だから言わない。』
『もし無事に帰れた、まだあのにいてくれたなら、そのは初めからやり直したい。』
そこで記は終わっていた。
私はい、頁を閉じられなかった。
「初めから」
声にした。
私たちの結婚は、叔母が決めたものだった。
私も淳さんも、自分で相を選んだわけではない。
広告
だから淳さんは、帰ってきたらもう度私に選ばせようとしていたのかもしれない。
妻になるか。
ならないか。
今度こそ私自に。
私は記を胸に抱いた。
「だったら、帰ってきてください」
声が震えた。
「帰ってきて、ちゃんと聞いてください」
返事はない。
静かなに、自分の声だけが残った。
終戦、最初のが来た。
物資はまだ乏しく、べ物も分ではなかった。私は針仕事のほか、のの伝いも始めた。
朝から晩まで働いた。
それでも叔母のにいたころとは違った。
働いた分のは、自分で受け取った。
何を買うか自分で決めた。
しずつ貯めたで、傷んでいた障子を張り替えた。
淳さんが帰った、るい部にしておきたかった。
志乃さんは々、何も言わずに夕飯のおかずを持ってきてくれた。
「分作るのも分作るのも同じだから」
そんなことを言いながら。
私はに頼ることもしずつ覚えた。
以は、何でも自分だけでやらなければ迷惑をかけるとっていた。
けれどに助けてもらい、自分も別のに誰かを助ける。
それでいいのだとった。
。
また復員兵が帰ってきた。
。
淳さんの名は名簿に見つからないままだった。
。
庭の柿が実った。
そして度目のが来た。
志乃さんに言われた。
「キヌちゃん、今も湯を沸かすの?」
私は笑った。
「はい」
「野さんが帰ってきたら、呆れるかもしれないよ。自分しか使わないのに、毎朝よく続けたって」
「だったら、そのはります」
「何て?」
私はし考えた。
「待たせすぎですって」
で笑った。
けれどその晩。
町内の世話役がを訪ねてきた。
には通の通を持っていた。
「キヌさん」
表がい。
「野淳さんについて、役所かららせが来ています」
私はったままけなくなった。