"出征前夜、夫から突然の離縁状――日記に隠された本心" 第7話
届かなくなった便り
最初の軍事郵便を、私は何度読んだか分からない。
い文だった。況などほとんどかれていない。それでも、淳さんの字を見ているだけで、い所に確かにきているのだとえた。
返事をいた。
何をこうか悩んだ末、私は庭の柿ののことをいた。
『今は実がたくさんつきそうです。井戸も変わりありません。私は元気です。毎朝、湯を沸かしています。』
最の文をいてから、し恥ずかしくなった。
淳さんならが分かるだろうか。
迷ったが、消さなかった。
返事はかに届いた。
『湯は自分のために使ってください。を荒らさないように。』
私はわず笑った。
相変わらずだった。
い所にいるのに、気にしているのは私のなのだ。
その便りを、記と同じ引きしへしまった。
季節が巡るにつれ、暮らしはしずつ厳しくなった。配だけではりず、庭の隅を畑にして芋を植えた。着物をほどき、まだ使える布を縫いわせ、何度も繕った。
できていくことにはあった。
けれど私は、叔母のへ戻らなかった。
所の志乃さんが々野菜を分けてくれた。代わりに私は、志乃さんのの針仕事を伝った。しずつ、自分でも誰かと助けって暮らせることを覚えた。
叔母は何度か訪ねてきた。
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「まだ待っているのかい」
「はい」
「物好きだねえ」
そのたびに私は笑って答えた。
もう以ほど怖くなかった。
通、通と便りは届いた。
淳さんの文はいつもかった。
『体は変わりありません。』
『こちらも暑くなりました。』
『べられるにべてください。』
度だけ、最にこうかれていた。
『柿が実るころには帰れたらいい。』
そのを読んだ夜、私は眠れなかった。
「帰れたら」
「帰る」ではない。
それでも、淳さんが帰ることを考えている。その事実だけで分だった。
私は庭の柿を毎朝見げた。
さな青い実がしずつ膨らんでいく。
になった。
柿がにづいた。
しかし淳さんは帰らなかった。
が来た。
便りも来なかった。
最初は郵便が遅れているだけだとった。
か。
か。
か。
何も届かない。
同じ町から征した男のには、「戦」のらせが届き始めた。
志乃さんの向かいのにも、い箱が戻った。
町を歩けば、黒いを着た族を見ることが増えた。
玄関を叩く音がするたび、私は臓が止まりそうになった。
役所のではないか。
軍からの使いではないか。
けれど何も届かなかった。
らせがないことを、んでいいのかも分からない。
きているから来ないのか。
それとも、きているかどうかさえ分からないから来ないのか。
夜、布団に入ると、が膨らんだ。
そんなは記をいた。
『俺のせいで未にはしたくない。』
その文を見るたび、私は腹がった。
「勝です」
誰もいない部で呟いた。
「私が待つかどうかは、私が決めます」
縁状はまだ引きしにあった。
法ので私は妻ではない。
けれど、そんなことはもうどうでもよかった。
私が待っているのは「夫」というのではない。
野淳という、のだった。
目の。
郵便受けに通の葉が入っていた。
淳さんの字ではなかった。
差は、見らぬ男性だった。
『野淳君と同じ隊にいた者です。お伝えしたいことがあります。』
私はそので、しばらくけなかった。