"四十九日の絶縁" 第8話
砕け散った打算と、最の別れ
「な、何なのよ、あれは! 陽翔ちゃんにどんな余計な吹き込みをしたのよ!」 肩をらせ、唾をばして詰め寄ってくる悦子。 私はややかな線を向け、穏やかな声で問い返した。
「吹き込み、ですか? 私はこの、子供たちとは度も連絡を取っていませんよ。……ああ、もしかして、陽翔を物で釣って丸め込み、子供のいない次男の修平さんご夫婦の養子に差しそうとしていた、あの計画のことですか?」
ヒッ、と悦子の喉からい鳴が漏れた。 顔面がみるみるうちに気へと変していく。 「な……な、何で……あなたがそれを……!?」
「まさか、とおいですか? 修平さんから直接、お話をいただきましたよ。の翌にね」 「う、嘘よ……修平が、あなたなんかに連絡するはずが……!」 「修平さんは変憤慨していらっしゃいましたよ。『母さんの勝な狂言に、兄さんの遺児を巻き込むな』とね。さおりさんも、あなたからの類をすべて破棄し、絶縁を宣言されたそうですね」
悦子は目を見き、魚のようにをパクパクとかしたが、やがて逆したようにキーキーと喚き散らした。 「な、何が悪いのよ! 子供のいない弟夫婦のことをって、親切で跡取りを面してあげようとしたんじゃないの! 未のおで男の子を育てるなんて無理に決まってるでしょ! 謝されこそすれ、責められる筋いはないわよ!」
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どこまでも自分の非を認めず、のを自分の都で消費しようとする怪物。 その浅ましさに、りすら通り越していれみが湧きがってきた。
「残でしたね、お義母さん。価なおもちゃやお菓子で釣ろうとした陽翔のは、最初からあなたなんかに靡いていませんでしたよ」 「な、なんですって……!?」
私はの部座席で楽しそうに笑いう子供たちを瞥し、悦子に向き直った。 「はっきり言っておきますが、私は何があっても、命に代えてもこの子たちを放しません。……それではお母さん。ああ、『お母さん』と呼ぶのはこれが最になりますが、どうぞお元気で」
私はく礼すると、度も振り返ることなく運転席へ乗り込んだ。 背で悦子が「待ち伏せなさい! 誰の許しを得てそんなを利いてるのよ!」と叫び声をげていたが、パワーウィンドウを閉めると、その声はよい静寂のへと消えった。
がりし、バックミラー越しにさくなっていく義実を見つめながら、私は部座席のに尋ねた。 「ねえ、、陽翔。ディズニーランドで、体何があったの?」
すると、陽翔が助席の背もたれからひょっこりと顔をし、胸を張って言ったのだ。 「あのね、お母さん! 僕、お母さんのヒーローになるんだよ!」 「……え? ヒーロー?」
が得げに笑いながら、種かしをしてくれた。
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「ディズニーランドのシンデレラのでね、フェアリー・ゴッドマザーに会ったの。のおを着て、ピンクのリボンをつけた魔法使いのおばあちゃん! 私が陽翔のを引いてお願いしたの。『この子に、世界で番くて優しいヒーローになれる魔法をかけてください』って!」
陽翔が両を広げて叫ぶ。 「ビビディ・バビディ・ブー!って、魔法の杖でチョンってしてもらったの! おばあちゃんはお菓子をいっぱいくれたけど、僕はお母さんとお姉ちゃんを守るスーパーヒーローだから、おばあちゃんのおには残らないって決めたんだ!」
「……」 「おばあちゃんがね、陽翔に『ママはいなくなるのよ』って嘘をつくたびに、私が陽翔の元で魔法の呪文を唱えてあげたの。『陽翔はヒーローだから、お母さんを助けにくんだよ』って」
界が、涙で滲んだ。 子供たちのでは絶対に泣かないと誓っていたはずなのに、温かい涙がポロポロと頬を伝って止まらなかった。 が助席から、さなでそっとハンドタオルを差ししてくれた。
(公平さん……見てる? 私たちの子供たちは、こんなにもくて、優しい子に育っているよ) 私は胸元にるガラスの靴のペンダントをそっと握りしめ、をる夕焼けのを、力く見据えた。