"離婚翌日に6億円当選、実家で弟に「居場所はない」と拒絶された私" 第14話
ぶりの旅
両親が齢者向け宅へ移ってから、健太と由紀さんの活もきく変わった。
毎朝、父と母の体調を確認する必がない。
通院のたびに会社を休まなくてもいい。
由紀さんもパートの勤務をしずつ戻した。
ある、健太から話がかかってきた。
「姉ちゃん、来の連休って暇?」
「どうしたの?」
「空港まで送ってくれない?」
健太と由紀さんは、泊の旅へくという。
夫婦だけで旅するのはぶりだった。
発の、私はをに乗せて空港へ向かった。
部座席で、は旅のパンフレットを広げていた。
「最初に神社くか?」
「あなた、まずうどんべたいって言ってたじゃない」
「それは昼だろ」
くだらない会話だった。
けれど、私はその会話を聞きながら何度も笑いそうになった。
実へ帰ってきたばかりの頃、健太の顔には常に疲れがあった。由紀さんも笑っていても目が笑っていなかった。
今はとも、ただの旅の夫婦の顔をしている。
空港へ着き、私はトランクからスーツケースをろした。
健太が受け取りながら笑った。
「送ってくれてありがとな。億円の効利用」
「何言ってるの。ガソリン代くらい自分で払ってよ」
「持ちなのに細かいな」
由紀さんが吹きした。
旅代は自のおで払っていた。
私は度、「せっかくだから私がそうか」と言ったことがある。
健太は即座に断った。
「俺たちの旅なんだから、自分たちで払う」
以の私なら、せっかくおがあるのだから使えばいいのにとっただろう。
今は違う。
自分で稼いだおを、自分で楽しむために使える。
それこそ健太たちが取り戻したかった活なのだ。
「じゃあ、お産だけよろしく」
私が言うと、健太はを振った。
「いやつな」
が発ゲートへ消えていくまで、私はその背を見送った。
、弟の肩に乗っていた見えない荷物が、ようやくろされたように見えた。
億円で健太の過は買えなかった。
しかし、これから先のを誰かに奪われないようにすることはできた。
その違いが、今ならはっきり分かった。