"離婚翌日に6億円当選、実家で弟に「居場所はない」と拒絶された私" 第4話
「健太がいるから丈夫」
翌朝、私は両親の活を初めて自分の目で見た。
父はがうようにかず、廊のさな段差を越えるたびに柱へをついた。トイレへくだけでもゆっくりをかけなければならない。母も膝を痛めており、座布団からちがるには顔をしかめ、数秒そので膝をさすっていた。
昔からんでいる古いには、今と廊のにも、台所の入りにも、呂にもさな段差がある。それが若い頃には何でもなかったのに、老いたにとっては毎の障害物になっていた。
昼過ぎ、両親が休んでいるに、由紀さんは卓のへ量の類を広げていた。
「伝うよ」
私が声をかけると、由紀さんはし驚いた顔をした。
そこには介護保険の通、病院の領収、薬局の細、の修理見積、役所の類が付順に理されていた。横には予定のびっしりかれたカレンダーがある。
父の通院、母の形科、薬を取りにく、い物を買う、町内会の用事。空の方がない。
「全部、由紀さんが?」
「健太とでやってます。平の続きは、私がけるは私が。健太しか無理なは、半休を取ってもらって」
私はカレンダーを見つめた。
「健太、そんなに仕事を休んでるの?」
「休んだ分、夜遅くまで残ってることもいです」
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由紀さん自も、母の通院が増えた頃からパートのシフトを減らしているという。子どもの教育費を貯めたい期なのに、それでものことを回すために仕事を削っていた。
「らなかった……」
からた言葉は、それだけだった。
由紀さんは責めなかった。
「お義母さん、耶さんには配をかけたくなかったんだといます」
その優しい言い方が、かえって苦しかった。
母が私をいやり、何もらせなかった。その分の負担は、すべて健太と由紀さんへ流れていたのだ。
夜、台所へを取りにくと、暗い卓に健太がで座っていた。缶ビールをに置き、気もつけずにぼんやりしている。
私は向かいへ座った。
「由紀さんから聞いた。病院のことも、仕事を休んでることも」
健太はさくため息をついた。
「余計なこと言ったな、あいつ」
「どうして私に言ってくれなかったの?」
「言ってどうするんだよ」
「伝えたかもしれないでしょう」
「くにんでる専業主婦が?」
言葉に詰まった私を見て、健太はしばらく黙っていた。
やがて、ぽつりと言った。
「数、会社から転勤の話があった」
「転勤?」
「県。役職も料もがる話だった」
私は初めて聞いた。
「どうしたの?」
「断ったに決まってるだろ。親父が倒れたで、母さんの膝も悪くなり始めた頃だった。俺がれたら誰が病院へ連れていくんだよ」
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胸の奥がたくなった。
健太は自嘲するように笑った。
「その直だよ。姉ちゃんと話で話したの」
「私と?」
「覚えてないだろ」
弟は缶を見つめたまま言った。
「姉ちゃん、俺に言ったんだよ。『健太がくにいるならだね』って」
記憶が戻った。
確かに言った。
何の悪気もなかった。むしろ弟を頼もしいとい、謝さえしていた。
けれどそのの健太は、昇と転勤を断った直だった。
私の「だね」は、弟の犠牲を当然のものとして受け取った言葉だったのだ。
「ごめん」
それしか言えなかった。
健太は首を振った。
「俺も、助けてくれって言わなかった。自分が男だからやるしかないとってた」
それからしを置き、い声で続けた。
「でも姉ちゃん。でどうにかしようとだけはするなよ」
私はわず顔をげた。
まだ宝くじのことは話していない。
それなのに、その言葉はまるで億円を隠している私の胸のを見透かしたように聞こえた。