"離婚翌日に6億円当選、実家で弟に「居場所はない」と拒絶された私" 第1話
婚届の翌朝
「おみたいなつまらない女、これからでどうやってきていくんだよ」
連れ添った夫が最に残した言葉は、慰めでも謝罪でもなかった。差しされた婚届に判を押した、私は何も言い返せなかった。歳まで専業主婦として庭を守り続け、資格らしい資格も、く続けた仕事の経験もなかった私は、夫の言葉を否定できるだけの自信を失っていた。
結婚した当初、私は働き続けるつもりだった。けれど夫は「にいてくれた方が助かる」と言い、やがてそれは「俺の稼ぎで分だろ」に変わった。気がつけば事も親戚づきあいも夫のの回りのことも、すべて私の役目になっていた。それでも庭を壊したくなくて黙っていた結果、最に残ったのは、わずかな預と数箱の荷物だけだった。
役所で婚届をした帰り、駅の宝くじ売りが目に入った。普段ならち寄らないのに、そのはなぜか吸い寄せられるように窓へ向かい、枚だけ買った。がこんなにも簡単に終わるのなら、何かつくらい馬鹿なことをしてもいい。そんな投げやりな気分だったのかもしれない。
翌朝、私はまだ暗い部で、その宝くじを枚ずつ確認していた。眠れないまま迎えた朝で、はく、胸の奥には昨から同じが居座っていた。
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これからむ所を探さなければならない。働きも見つけなければならない。賃を払い、費を削り、老のことまでで考えていかなければならない。
枚目の数字を見た、最初は自分が読み違えたのだとった。つ目が同じ。つ目も同じ。つ目、つ目と確かめるうちに、指先から血の気が引いていった。私はスマートフォンの画面と元の券を何度も見比べ、それでも信じられず、最初の数字からもう度確認した。
全部、っていた。
表示されていた等の当選額は、億円を超えていた。
声はなかった。嬉しくてびがるどころか、私は子からつことさえできなかった。昨まで数千円単位の活費を配していたのに、突然、かけても使い切れるか分からない額が現れたのだ。い枚のが、急に自分のを壊しかねない危険なものに見えた。
最初にへ浮かんだのは、夫だった。けれど、もう夫ではない。らせる理由もなかった。次に両親と弟の顔が浮かんだが、私はスマートフォンを握りしめたまま首を振った。まだ誰にも言わない方がいい。本能にそうった。
私は当選者が注すべきことを調べ、資産管理に詳しい専へ相談できる窓を探した。震える指で話番号を押すと、落ち着いた女性の声が聞こえた。
その声を聞いた瞬、私は初めて、自分がどれほど怯えていたのかに気づいた。
「まとまったおが入ることになりまして……今の管理について相談したいんです」
宝くじとは言えなかった。それでも数の面談予約が取れたことで、しだけ呼吸が楽になった。
私は当選券を封筒へ戻し、さらに別の袋へ入れて鞄の奥にしまった。億円があればは助かる。そうう方で、このおのせいで別の何かを失うかもしれないという恐怖もあった。
そして、そのの私はまだらなかった。
億円より先に向きわなければならないものが、ほとんど振り返らなかった実で待っていることを。