みかん小説
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"元夫に投げつけられたカード、残高は一億五千万円" 第7話

のと監の

内藤支の表が瞬で険しく歪んだ。

「おい、君。その件は……」

「支、当の特別内規第条に基づきます。名義ご本が窓に来訪し、解約のを示された際、受託者は直ちに保管物を本へ直接渡さなければなりません。職務規程に違背することはできません」

は内藤の制止を毅然とした態度で押し切り、その封筒を私のへと差しした。

封蝋で固く閉じられたい封筒。にとると、ずっしりとしたのみが指先に伝わってきた。枚以もの便箋が隙なく折り畳まれているのがわかる。

プルルル、プルルル。

その瞬、応接のサイドテーブルに置かれた内線話ではなく、内藤支のズボンのポケットので、携帯話がけたたましいバイブレーション音を響かせた。

内藤は骨に顔を変え、慌ててポケットから端末を取りした。画面に表示された発信元の名を見た瞬、初老の支の額から、尋常ではない量の脂汗が吹きしたのを私は見逃さなかった。

「……失礼。緊急の件が入った。君、あとは君が適切に対処したまえ」

内藤は私に形ばかりの会釈をすると、逃げるように応接をびしていった。防音扉がパタンと閉まり、内には私と課のだけが残された。

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「松浦様、お急ぎください」

が突然、テーブル越しにを乗りし、元で切迫した囁き声を落とした。先ほどまでの員然とした態度は完全に消えり、その顔にはい焦燥が刻まれていた。

「え……?」

「をお読みになるのはです。今すぐ、そのと通帳を鞄の奥底へ隠してください。……内藤支は、今、部の者に話をかけにきました。あなた様がこのに現れ、座のに気づいたことを報告するためにです」

「部の者って……誰ですか!?」

「赤嶺百(あかみね・ももか)。……あなた様が、の倫相だと信じ込まされていた女です」

を鈍器で殴られたような衝撃だった。

なぜ、の浮気相の名を、この方の融資課がっているのか。なぜ、その女が私の向を監しているのか。

「美は、私の学代からの無の親友です」

は私の目を見つめ、で言葉を紡いだ。

「あいつは、あなた様と蒼太君を裏切ってなどいません。、あの男がどれほどの獄ので、どれほどの血を流しながら、あなた方をから追いしたか……! すべては、あなたたち母子の命を守るための、命懸けの芝居だったのです!」

「命を……守る……?」

「赤嶺百は、ただのなどではありません。政財界に巨な利権を持つ赤嶺グループ総帥の狂気の令嬢であり、国権力の警察層部すら私兵のようにかす、本物の怪物です。

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……は、その女の異常なストーカー為と暴力に晒され続けていました」

は胸ポケットからハンカチを取りし、自らの汗を拭った。

「がどれほど拒絶しても、あの女は諦めなかった。それどころか、狂気の刃はあなた様と蒼太君へ向けられたのです。幼稚園の通園に現れた審両、事現からの落物、交差点での接触事故……あれらすべてが偶然だといますか!? 百が雇った裏社会の連が、を脅迫するために仕掛けた見せしめだったのですよ!」

息が止まりそうになった。

に起きた、数々の審な事故。首に巻いた包帯を見て、普段は穏やかだったが、見たこともない恐ろしい形相で押し黙ったのこと。

『俺がそばにいては、いずれ妻と子が確実に殺される。……俺が倫したクズを演じてを追いし、すべての標を自分に引きつけるしかない』

が泣きながらに打ちけたという言葉を聞いた瞬、私の瞳から粒の涙がボロボロと溢れした。

なんということをしてしまったのか。

私は彼をみ、軽蔑し、裏切り者と罵って、箪笥の奥にカードを封印していた。その、はたったで、狂気の女の銃のにち続け、私たち母子から線を逸らすための「囮」となって逃げ回っていたのだ。

「松浦様、泣いているはありません」

は元の端末を素く操作し、キーボードを叩いた。

「内藤支は、赤嶺の息がかかったです。あの男がの座のきを百に密告したため、はこの町を追われ、さらにくへ逃げざるを得なくなりました。今、私がこの座を当の最密保護システムへと移させました。これで内藤の権限でも、残の移先を追うことはできません」

カタカタと軽な音が響き、端末の画面が暗転する。

「裏の非常階段へご案内します。百の追がここへ到着するに、どうか逃げてください」

「さん……は! は今、どこにいるんですか!?」

私はちがり、の腕に縋り付いた。

は瞬だけ苦悶の表を浮かべ、スーツの内ポケットから、つ折りにされたさなメモ用を引き抜いて私ののひらに押し込んできた。

「これは、、あいつが最に私にだけ連絡してきた潜伏先の所です。……ですが、追っから逃れるために、すでに別の所へ移している能性がい。それでも……」

「きます。何があっても、を見つけします」

「裏をたら、駅へは向かわず、国沿いのタクシーを拾ってください。……ご武運を。を、どうか救ってやってください」

い非常扉が押しけられ、私は暗い裏へとびした。

ののメモと、のをく、く胸に抱きしめながら。

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