"「片親の貧乏人」と息子を叩いた社長、母の正体を知って絶句" 第16話
それぞれが失ったもの
それから数か。
品は幅な事業縮を余儀なくされた。
主取引先のくがれ、資繰りも急速に悪化したという。
最終には旧会社をそのまま維持することが難しくなり、専務をとした部の社員たちが別会社をちげ、再発を目指すことになった。
正へ反対していた社員をに雇用するという話を聞き、私はしだけ救われた気持ちになった。
方、社には複数の責任追及がわれた。
表示偽装や取引の問題について捜査がみ、岡との銭授受についても詳しく調べられた。
岡も会社をった。
私が直接会うことはもうなかったが、に捜査関から事聴取を受けたと聞いた。
積みげたを、の欲と嫉妬で自ら壊した。
そう考えると、単純に「ざまあみろ」とう気にはなれなかった。
父はきっとしんでいる。
若菜についても、祥太から連絡を取ることはなかった。
共通のから聞いたところでは、父親の会社をれ、しい仕事を探したらしい。
最初は希望する条件の会社がなかなか見つからず、いくつかの仕事を掛け持ちして活しているという。
以の若菜なら、それを「貧乏でみじめな暮らし」と呼んだかもしれない。
けれど私はそうはわない。
広告
自分で働いて活費を稼ぐことは、恥ずかしいことではない。
むしろ、そこで初めて彼女は自分のを自分で作り始めたのかもしれない。
「母さん、若菜のこと気になる?」
ある休、祥太に尋ねられた。
「しはね」
「俺はもう丈夫だよ」
祥太は笑った。
以よりしびて見えた。
「最初は悔しかったけど、結婚に分かって良かったとってる」
「そう」
「もし結婚しただったら、もっと変だった」
確かにそうだ。
は、問題が起きたに本性がる。
私の父の葬儀がなければ。
若菜が仕送りの話をしなければ。
で祥太が片親だとられなければ。
はそのまま結婚していたかもしれない。
そう考えると、辛い来事のにもはあったのだとう。
「母さんこそ丈夫?」
「何が?」
「社」
祥太は配そうに眉をげた。
「最また帰り遅いだろ」
私は苦笑した。
「落ち着くまでは仕方ないわ」
「それ、昔も言ってた」
「昔?」
「俺がさい頃。『今だけ忙しい』って」
痛いところを突かれた。
祥太は笑いながら続ける。
「じいちゃんみたいに急に倒れないでよ」
その言葉に、私は父の最期をいした。
仕事だった。
族いだった。
だからこそ、自分の体のことは回しにした。
「分かった。気をつける」
「絶対だからね」
「はいはい」
そう答えると、祥太が満そうな顔をした。
歳になっても、私にとってはあのを握ってくれたさな男の子のままだ。
ただ、いつまでも私が守るだけのではない。
祥太もまた、私を守ろうとしてくれている。
そのことが嬉しかった。
そしてある、母もがへやってきた。
父がくなってから暮らしになった母は、以より頻繁に私のへ来るようになっていた。
で卓を囲んでいると、母が突然言った。
「お父さんがいたら、きっと桃のこと自してるわね」
私は箸を止めた。
「そうかな」
「当たりでしょう」
母は笑った。
「最まであなたのこと配してたもの」
その夜、私は久しぶりに父のを見た。