"「片親の貧乏人」と息子を叩いた社長、母の正体を知って絶句" 第9話
父が最まで疑っていた副社
「私の話?」
岡はわざとらしく笑った。
「社の正と私に何の関係があるんですか」
「本当にないならしてください」
私は封筒から数枚のを取りした。
枚目は、品から支された接待交際費の記録。
枚目は、岡の個座への入履歴。
枚目はメールの写しだった。
《例の件、今期も継続できるようきます》
その直に、
《いつもの件は回と同じ形でお願いします》
と続いている。
岡の顔から血の気が引いた。
「これは何ですか?」
「あなたに聞いているんです」
「たまたまですよ」
「数にわたって?」
「取引先同士なら銭のやり取りがあることくらい……」
「個座に?」
答えられない。
社も隣で黙り込んだ。
私は父から聞いていた話をいした。
「岡は優秀だ。だが最、品の話になると妙にになる」
父はそう言っていた。
、から、品の特許技術に関する独占契約を見直す議論がていた。
契約当初はきな価値があった技術も、が経ち状況が変わった。
社からより良い条件も提示され始めていた。
それでも岡だけが頑なに契約継続を主張した。
「い付きいを切るべきではない」
「品には恩がある」
そう繰り返した。
しかし父は逆に違を覚えた。
恩があるのはむしろ品の方だからだ。
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、倒産寸だった品を救ったのは、父たちだった。
「父はくなる直まで、あなたのことを調べていました」
私が告げると、岡は目を見いた。
「そんなはずはない」
「どうして?」
「先代は俺を評価していた」
「ええ。だから副社にしたんでしょう」
私は頷いた。
「評価していたからこそ、裏切りを疑いたくなかったといます」
岡の拳が震える。
社が突然をいた。
「私は何も求していません」
岡が勢いよく振り向いた。
「黙ってろ!」
「そもそもを求したのはあんただろ!」
部の空気が変した。
私はを止めなかった。
互いに責任を押しつければ、こちらが聞かなくても事を話してくれる。
案の定、社は声を荒らげた。
「契約を続けたければを用しろと言ったのはあんただ!」
「おが泣きついてきたからだろ!」
「産表示のことだって最初に――」
そこまで言ったところで、ともを閉ざした。
私は聞き逃さなかった。
「最初に何です?」
「……」
「岡さん。産偽装のことをっていたんですか?」
岡は目を逸らした。
私はさらに追及した。
「っていたで契約を継続させた?」
「違います」
「では今の発言は?」
「言葉の綾です」
無理がある。
社は自分だけが悪者にされるとじたのか、今度はき直った。
「岡さんから言われたんですよ」
「何を?」
「経営が厳しいと相談したら、『原価をげる方法はいくらでもある』って」
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岡がちがった。
「ふざけるな!」
「事実だろ!」
は互いに鳴りった。
私は机を度く叩いた。
「もういいです」
が黙る。
「どちらが最初に提案したかは、これから正式に調査します。ただ、なくとも正をりながら隠していたことは認めますね」
岡は俯いた。
い沈黙の、ようやく絞りした。
「……申し訳ありません」
「何について?」
「社から銭を受け取っていました」
社が顔を真っ赤にする。
「おい!」
「もう隠せないだろ」
岡は諦めたように肩を落とした。
「契約を続ける見返りとして受け取りました。正表示についても……途からっていました」
私は目を閉じた。
父が最も信頼していた役員のだった。
だからこそ、悔しかった。
「岡さん」
「はい」
「今、正式な処分が決まるまで自宅待してください」
「待ってください!」
岡は顔をげた。
「社員にられたら私のが……」
「私について事実確認もせず噂を広めた方が、それを言うんですか?」
何も返せない。
そしてそのだった。
岡のから、さらに信じられない本音がこぼれた。
「あなたさえいなければ……俺が社だったのに」
私は静かに彼を見た。
ようやく、父の葬儀で言われた言葉のが分かった。