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"大正十四年、卒業式で制服を脱いだ三十七人――母の署名に隠された秘密" 第21話

針の先へ

証を受け取った翌、操は志乃の裁教を訪ねた。学先の裁縫学へ入るには準備がり、すぐにをれることはできない。しかし志乃は、町にいながら学べることがたくさんあると言った。操は教の窓辺で、何も使われてきた型を広げた。

「私は、を作ることより、がを使い続ける方法を考える方が好きかもしれません」と操が言うと、志乃は笑った。「それも派な仕事よ。寸法を測って、どう直すか考えて、使ったが困らないようにする。裁は、ただしい物を作るためだけの技術じゃないわ」。

操はまで志乃の教に通いながら、宮裁縫所で仕てを学ぶことにした。ちせは最初、娘が自分と同じ厳しい仕事へ入ることを配した。しかし操が「お母さんと同じ働き方をしたいわけじゃない。お母さんの仕事がく使われない方法まで覚えたい」と言うと、ちせはしばらく黙っていた。

「言うのは簡単だよ」と母は言った。「でも、やってみなさい。うまくいかなかったら、その理由も覚えて帰っておいで」。操は笑い、針を取りげた。ちせは最初のから、娘だからといって加減しなかった。縫い目が曲がればほどかせ、糸が絡めば原因を考えさせた。

同窓会の貸ししは、になってもまだ細かな問題が続いた。を返すに汚れがあれば誰が洗うのか。

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借りる予定の者が急に取りやめたら、予約した直し仕事はどうするのか。志乃とはるはつずつ決め、台帳を改めていった。

環は父ので売りげの計算を学び始めていた。彼女は女学で学んだ算術が、の布のさや値段を考えるに役つことをった。方、鶴子は町のさな事務所に勤め、夜には妹たちの勉を見ていた。は忙しくなったが、々裁縫所に集まり、学をたに起きたことを話した。

ある、環が操へ言った。「父さんが、このの援会で借りるのことを話したんですって。なら古着だって嫌がったが、最は自分の娘のを預けてもいいと言っているらしいわ」。操は嬉しかったが、「預けたの修理代を忘れなければね」と答えた。

が笑っていると、はるがしい注文票を持ってきた。今度は別の学から、事用のを何着か揃えたいという相談だった。以なら桐を通して言われた通りに縫うだけだったが、今回は学の担当者と直接、使い方や丈直しの条件について話すことになった。

ちせは注文票に目を通し、操に言った。「どうしてこのが必なのか、最初に聞いておいで。何が何回着るのか分からずに縫ったら、また困るからね」。操はうなずいた。式をめぐる騒ぎは、ひとつの学だけの来事では終わらなくなっていた。

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その晩、操は裁縫所の灯を最に消した。母が何もで繕い物を続けてきた夜をうと、仕事のさをしだけ分けてもらった気がした。だが同に、分けるだけではりないこともっている。仕事に値段と約束をつけ、続けられる形にする。それはこれから操自が学ぶべきことだった。

同窓会の記録には、仕事をしたの名と、受け取ったの額が緒に残されるようになった。操は最初、その数字をに見せるのが苦だった。誰かのがいくら払えないかまで分かってしまいそうで怖かったからだ。志乃は「の暮らしを晒す必はない。仕事の値段を隠さないことと、個の事を守ることは別よ」と教えた。操は台帳をつに分け、貸ししの条件は皆に示し、利用者の事は扱うだけが見る形にした。

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