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"大正十四年、卒業式で制服を脱いだ三十七人――母の署名に隠された秘密" 第20話

度目の卒業式

、梓等女学の講堂には、再びの女が並んだ。回と違い、同じ紺のを着た者ばかりではない。郁子はしい式、環は母が直してくれた着物、操は茶の袴をにつけていた。鶴子は姉から譲られた袴を、きれいに洗って着ていた。

講堂の飾りはより質素だった。けがつと、黒塗りの盆。族のほかに、はるや枝たち縫いの女も招かれていた。ちせはのと同じろの席に座ったが、今回は娘のを見ても胸が苦しくならなかった。

が壇にった。「の式では、学にも、徒たちにも、考えがりないところがあった」と言った。援会役員の部は眉をひそめたが、は続けた。「今ここにいるは、それぞれの学びを終えています。装の違いを、卒業の資格とはいたしません」。

ずつ名が呼ばれ、証が渡された。操の名が響いた、ちせは膝のでをねた。操はへみ、証を受け取ると、くをげた。あの、学の決定を拒むためにった同じ所だった。今は、学んだを自分ので受け取るためにっている。

最に挨拶したのは鶴子だった。彼女は用したを見ず、会へ向かって話し始めた。「最初の式の、私はただ恥ずかしかったんです。

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を買えないことを、皆にられたくありませんでした。だから友だちに助けられても、素直にべませんでした」。

鶴子はそこで度息をつき、続けた。「でも、を縫ったたちにも暮らしがあって、買うにも事があって、学にも守りたい物があるとりました。私たちは、それを初めから分かっていたわけではありません。違えながら、話して、直してきました」。

会の端で枝が涙を拭った。鶴子はさらに、「今ここにいる私たちは、同じを着ていません。でも、同じ学で学んだことを、誰かと分けうために、同じ格好をする必はないといます」と言った。

拍はすぐには起きなかった。話を聞いた親たちが、それぞれの子を見つめていたからだった。やがてろの方でさな拍が鳴り、講堂全体へ広がった。もゆっくりを叩いていた。

式の、写真が階段に脚を据えた。は好きなで並んだ。しい装も、繕った袴も、借りたも緒だった。郁子は写真へづき、「式だけの写真も枚撮っていただけますか」と頼んだ。揃いのを着たいだけが残り、もう枚撮ることになった。

操はそれを見て笑った。全員で枚だけの正しい写真を撮らなければならないとっていた頃なら、郁子の願いもわがままに聞こえたかもしれない。

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だが今は、誰もされずに並ぶ写真と、装をぶが並ぶ写真の両方があっていいとえた。

帰り、操は母へ証を見せた。ちせは丁寧に受け取り、の端を指でそっと撫でた。「よかったね」とだけ言う。操は、「お母さん、式の仕事を引き受けてくれてありがとう」と答えた。ちせは驚いた顔をしてから、「仕事だからね」と笑った。

操はその言葉が好きになった。母が自分のために苦労をしたことだけではなく、腕を持ったの働きであることを、ようやく理解し始めたからだった。

鶴子の母は娘の証を受け取ると、写真に枚の写真を注文した。支払いの、し迷った末に「娘が全員と並んでいる方をください」と言った。鶴子は「装だけの写真もきれいだったよ」と笑ったが、母は首を振った。「うちに飾りたいのは、あんたがいちばん自然に笑っている写真だから」。操はそのやり取りを聞き、学で求められた『揃う』という言葉に、今までつしかを与えていなかったと気づいた。姿が違っても、緒に写れる。それこそ鶴子が欲しかった卒業のだった。

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