"大正十四年、卒業式で制服を脱いだ三十七人――母の署名に隠された秘密" 第14話
つの値札
翌週、学の講堂で式の扱いを決める会がかれた。、援会役員、桐、宮裁縫所、同窓会、保護者、卒業の代表が集まった。操たちはのさに圧倒されたが、今は誰のための話かを確かめようと、最列ではなく縫いたちの隣へ座った。
桐の主は、まず着円銭という価格を示した。注文の際に必な材料を仕入れ、で管理し、縫製所へ運んだ費用も含まれるという。はるはその横に、女たちが実際に受け取る縫製賃と、別に請求したい縫い直しのをいたを並べた。
つの値札を見比べると、方だけが嘘をついているわけではなかった。布には仕入れ代があり、を維持するにもがる。しかし縫いの方は、来がったで注文が消えれば、自分たちのが消されてしまう条件だった。
「にも仕事があり、裁縫所にも仕事があります」と志乃が言った。「学には教育の責任がある。徒には学びを終える権利がある。どれも、別の物を犠牲にすればよいという話ではないでしょう」。
居はそこで異を唱えた。「理屈は分かる。しかし女学が式でを脱いだという事実は消えん。学が支払いを引き受ければ、あのを認めたことになる」。操はちがり、「私たちの振るいで迷惑をかけたことは謝ります。
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でも代を払うかどうかを、罰の具にしないでください」と言った。
会は紛糾した。制の全員購入を続けるべきだという保護者もいた。貸ししを希望する者がないにはどうするのか、の傷みは誰が調べるのか、費用を負担する援会の々へどう説するのか。質問が続き、が傾いても結論はなかった。
その、郁子の母が発言した。「うちは娘の分を買います。買えるからと言って、買えないを責めるつもりはありません。ただ、代を払ったで急にく貸しされると、損をしたようにうもいるでしょう」。操はそこで、るに答えを考えた。
「しいを自分の物として持てることにも値段があります。借りた物を戻し、必なに直して使うことにも値段があります。同じ物に、違う使い方があっていいとうんです」
環が黒板へという数字をいた。買い取り希望は、貸しし希望は。まず着はそれぞれのが買う。残り着は学か同窓会が預かり、希望者へ貸す。最初に必な支払いをどう分けるか、そこから考えようと提案した。
しかし居は簡単に頷かなかった。「着分の支払いは、今ので誰がする。来以の貸し賃を当てにして、今の負債を作るのか」。環はをつぐんだ。父ので見積もりを見ていた彼女には、その指摘が避けられないことも分かっていた。
会は翌へ持ち越された。操たちが廊へると、母のちせが声をかけた。「今は、話せてよかったね。結論がなくても、今まで見えなかった仕事が見えるようになった」。操は首を振った。「でも、枝さんたちはもおがるのに」。
「そうだよ。だからまでに考えるんだ」
ちせは静かに答えた。操は初めて、話しいを続けること自体が誰かのを使っているのだとじた。問題を良くするための議論でも、引けば活を壊すことがある。の会では、言葉だけでは終わらせられない。