みかん小説
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"消えた十一丁の鍬" 第18話

田んぼを守るのは誰の仕事か

翌、の女たちは用に沿って歩いた。朝から鍬を持ち、畦のさを確かめながら、どこにが溜まりやすいかをつずつ話した。信が作った図は線ばかりだったが、女たちは「あそこには古いが埋まっている」「この角は昨も崩れた」と次々に付けした。槻は最初、その細かな話に苛ったが、実際の流れとっているのを見てを閉じた。

佐代は自分の田の端へさなを通す案を示した。ただし、稲を作る央部分は避け、歩くための畦をしくする必がある。その仕事にはいと嚢がいる。弥助は「うちの畑からたを持っていってもいい。ただしのに掘り返した穴を戻してくれ」と言った。槻はの共同作業に必な数を数え、ようやく現実な仕事の順番を提案できた。

健はまだ満そうだった。「のために回収をめるのが俺の役目だった。なのに、いつのにか堀を掘ったり、の畑を直したりしている」。本は苦笑した。「のためという言葉は便利です。でもを守る仕事が、にかれたつだけとは限りません」。健はしばらく黙り、次のから嚢の運搬を引き受けた。父の槻が誰かの田へ入る、必ず持ち主に声を掛ける姿も見るようになった。

健はそこで、以回収品を積んだのことを話した。

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の役を任されたのが嬉しく、く数を揃えて褒められたいとっていた。弥助の削りを持っていったも、目のの具がどんな仕事に使われているか尋ねなかった。「のためと言いながら、自分の仕事が終わることばかり考えていたんだといます」。本は健を責めず、「気づいたなら次のやり方を変えてください」と答えた。健はの嚢を自分で数え直し、誰が危険な所へ入らずに運べるかを考えた。

事が始まると、子どもたちは畑のくへづかないよう命じられた。だが佐代の息子・夫は母を配し、昼に握り飯を届けてきた。信はを全な所に座らせ、母が仕事を終えるまで緒に待った。「鍬は返してもらえるの」と夫が聞く。信はすぐには答えられなかった。「返すつもりでいる。はかかるけれど、今度は勝に決めたりしない」。夫はし考えて、「だったらお母ちゃんにちゃんと聞いてね」と言った。

その言葉は信の胸へ刺さった。が何度も寄をしていたのは、結局、誰かへ聞かずに決めたことを取り消すためでもあった。父のしたことも、自分が帳面だけで作業を割ったことも、根には同じ急ぎ方があった。信は鍛冶へ戻り、佐代のしい鍬を直す、柄のさを本に確かめようと決めた。

夕方、徳兵が現へ来た。布を巻いたではい槌を持てないが、の組み方を見て「ここはもうし角度をつけるとよい」と助言した。信がその理由を尋ねると、父はののを指さし、が回り込んだの削れ方を説した。以は「わしの言う通りにしろ」で済ませていた仕事だった。今は、言葉にして渡すことができるようになっていた。

夜、へしいらせが届いた。町のから、鍛冶の仕事ができる者を何かしてほしいという連絡だった。信の名も候補に挙がっていた。お勢は黙ってを読み、徳兵へ渡した。父が鍛冶の仕事を息子へ託そうとし始めた矢先、今度はが信を失うかもしれなかった。

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