みかん小説
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"消えた十一丁の鍬" 第15話

先に沈む田

に入ると、たいがを覆った。の朝はにに暗くなり、女たちはまだるくならないうちにを起こして、族の弁当と畑でべる握り飯を作った。佐代もそのだった。用のはまた増え始め、仮に組んだの支えがいつまでも持たないことは誰の目にもらかだった。本は量の様子を見ながら、増した分をの溝へ逃がす準備を提案した。たちは弥助の畑へ向かうのを見て、また黙り込んだ。許したと言っても、実際にを削るは別の気持ちになる。

弥助は集まった々ので言った。「うちの畑の端を使っていいと言ったのは、約束を守ってもらえるとったからだ。が引いたら戻す。潰れた芋はそのままにしない。そこまで決めてほしい」。本はき留めたが、誰がどれほど働けるかまではすぐ決められない。健は「そんなことを言っているにがる」と焦った。すると佐代が言った。「急ぐのと、黙って決めるのは違うでしょう」

そのにいたよしは、父が畑の端をけ渡すと聞いて泣きそうになった。「は芋がりなくて、じゅうい噌汁だったでしょう」。弥助は娘の肩を抱き、「だから今度は、ただするんじゃない。みんなが伝うと約束してくれたら、仕事を頼むんだ」

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と答えた。槻は親子ので言葉を選び、「が引いたの修復を、の共同の仕事として最初に入れる」と約束した。本がに記して、よしにも見せた。

よしはそのを読んで、しだけ顔をげた。「をくれるだけじゃなく、芋も掘ってくださいね」。槻はそうに笑い、「もちろんだ」と答えた。よしは父の袖を掴んだまま、そのでしの、の流れを見ていた。

お勢は女たちと相談し、翌朝からの作業を班に分けた。つはの見張りと堀の補、もうつはが引いたに使うや苗の保管を準備する。子どもたちはへ戻り、のう袋の補修を伝った。全員がへ入るより、を回すほうが切な仕事もある。信はのがそれぞれ自分のる仕事を持ち寄る様子を見て、だけでは考えつかなかった段取りだとった。

夜更け、流で板がきく鳴った。見張りの健が鐘を打ち、々が駆けつけた。の支えが本れ、増えたがしい溝へ流れ込んでいる。信は流へったが、徳兵が腕を掴んだ。「のへび込むな。見えるところから縄を使え」。息子が以の父なら真っ先にへ入っていただろうと言うと、徳兵は苦く笑った。「今は、おに同じことをさせたくない」

皆で縄を渡し、濡れたを岸から引き寄せた。

作業は朝まで続いた。弥助の畑の端にはが入ったが、佐代の田へ向かう勢いはまった。夜がけると、佐代は弥助のへ先に謝りにった。弥助は疲れた顔で「謝るのは田を潰しただろう。はあとで芋を掘り直せばいい」と答えた。その言に、佐代はわず泣きそうになった。

しかしが引き始めると、畑のがくえぐられていることが分かった。約束した通りに戻すには、くのがいる。槻はの作業を優先しようとしたが、今度は槻自のきな田でも畦が傷んでいた。「うちだけ回しにしろというのか」と健が抗議すると、槻は静かに言った。「わしもの田を軽く見た。今度は皆で順を決めよう」。信は父のほうを見た。徳兵は濡れた鍬を抱え、黙ってうなずいていた。

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